スナック菓子>どうなった? あの「社長チップス」 発売から1年



<スナック菓子>どうなった? あの「社長チップス」 発売から1年
6/4(日) 11:00配信 毎日新聞

 東京のベンチャー企業が昨年4月に発売したスナック菓子「社長チップス」。ヒーローキャラクターやスポーツ選手のカード付き菓子のように、全国の中小企業社長の写真カードが付くポテトチップスで、その一風変わったコンセプトから、発売前後には多くのメディアが取り上げ話題になった。あれから1年が過ぎ、売れ行きや狙いは思った通りに実現できただろうか。そして、カードに登場した社長たちはどう感じているのだろう。【増田博樹/統合デジタル取材センター】

 ◇34都府県、109人の社長が登場 年度末の目標は300人

 カードはチップスのおまけで、タテ約9センチ、ヨコ約6センチ。表にはプロカメラマン撮影による社長の写真と自筆の一言が印刷されている。裏には社長や会社のプロフィルのほか、カードバトルも想定してか、「体力」「知力」「人望」「見た目・容姿」など30項目を社長が自己採点した「戦闘能力」も記載されている。チップスの味はCEO(最高経営責任者)にかけて塩味。熱意がありながらPR面で悩む企業をインパクトのあるツールで支援したい、と開発した商品だ。

 発表当時、一体誰が出るのだろう? と感じたが、焼き肉店を経営する芸人の「たむけん」こと田村憲司さんら著名人を含め、登場人数は34都府県の109人に上っている(1日現在)。だが、企画・運営するエスプライド(東京都渋谷区)は100%満足している、というわけではないようだ。

 発売当初、カードに登場してもらう社長の目標は各都道府県10人ずつ計470人で、東京、大阪、愛知は募集開始1カ月で上限の10人に達した。その後は同地域の応募を断る一方で、他の地方では一部で営業に苦戦、予定より少なくなったのだという。エスプライドの西川世一(せいいち)グループCEOは「それでも思ったより参加していただいているという思いが強いです。ただ、(メディアで多く紹介されたが)地域によっては、知ってもらう努力がまだ必要だと感じています」と話す。

 登場する社長を募るにあたって、当初は西川CEOらと交流のある社長に声をかけるケースが多かったが、現在はメディアなどで存在を知った企業からの問い合わせが増えている。西川CEOは「いま40人分を準備中です。また、新年度からは『各都道府県10人ずつ』という枠をはずしました。全都道府県からの参加は目指しつつ、地域ごとの多い少ないにはこだわらずに、より多くの社長の思いを伝えたいと考えています」。今年度末の目標は300人だという。

 ◇カードに登場した社長たちの評価は?

 エスプライドの本業は、アイデア菓子のプロデュースを通じた企業のブランド力向上やPR支援で、社長チップスもそのツールの一つ。通販で個人向けに販売もしてはいるが、一般消費者向けというよりも、基本的には採用活動やPRなどへの活用を想定した企業向けの商品だ。では、カードに登場する当の社長たちは、実際にどう活用しているのだろう。

 茨城県古河市で薬局を運営する「LLE」の吉田聡代表取締役は、「自分のカードを作ってもらえる機会なんて、普通に考えたら一生ありません」と参加の動機を語る。自社開発のサプリメントの営業や、採用面接などで社長チップスを渡しているといい、「インパクトがあるため相手も覚えてくれている。話題になりやすいので、初対面でも楽に話ができます」。焼き菓子製造の「若尾製菓」「タンドール製菓」(岐阜県美濃加茂市)の若尾達也社長は「知り合いから『見たよ!』と連絡をもらうなどの反応があり、費用対効果は抜群。PRツールとしてはかなりインパクトがあると感じています」と言う。

 エスプライドが運営する社長チップス公式サイトには、登場社長の会社経営への思いや、人物を知ることができるエピソードが掲載されている。エステサロン運営の「神美」(岐阜市)の田中由佳社長は、「不動産契約で会ったオーナーから『おじいさんが農協の金庫番だったんだって?』と言われました。これは、サイトにしかない内容。自分はブランディングのため金髪にしており、軽く見られることもありますが、祖父のエピソードが信用を得るきっかけになりました」。神美は現在、店舗拡大に伴い採用活動を強化しているが、面接希望者のほとんどがサイトを見てから来るのだという。

 評価はまずまずのようだが、中には「(個人で)買いたいがどこで買えるのか」と問われ返答に困ったという声もあった。個人の場合は販路が公式サイトの通販に限られるうえ、お目当ての社長カードを指定することもできない。また、企業が購入する場合も210袋が基本で、配布先が少なくてチップスの賞味期限が過ぎてしまった、という声もあった。今後の課題だろう。

 ◇目指すは「社長プロダクション」

 カードに登場する社長と企業の情報は、社長チップス公式サイトに掲載されるほか、サイトを通じて講演や取材、面会の依頼もできるようになっており、実際にアクセスが増えているという。また、登場社長の人物をより詳しく知りたい人向けには、ネットでインタビュー番組を聞ける「社長チップスRADIO」も昨年秋から始めた。要望の多かった採用支援についても、今年3月から、社長と学生らが互いにプレゼンをしあうイベントを始めており、今年度は50回以上開催する予定だ。今後はさらに、社長のドキュメンタリーやインタビュー動画の作成も検討中という。

 西川CEOは「登場社長の企業どうしでビジネスにつながった例や、学生が企業にアクセスするケースも増えてきました。今後の我々は『社長プロダクション』的な役割が強まっていくと思っています。社長チップスを通じて、意欲ある社長とその会社のビジネスを支援していきたい」と話している。

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