「職業図鑑」がいまブーム!? 25万部以上も売れているワケ



「職業図鑑」がいまブーム!? 25万部以上も売れているワケ〈dot.〉
dot. 4/29(土) 16:00配信

『日本の給料&職業図鑑』で紹介されている職業のイラスト。左上から時計回りに、薬剤師、高速道路の料金収受係、教師、ウェブデザイナー、美容師 (C)給料BANK

 2016年に発売されて以来、シリーズ累計で25万部以上も売れている職業図鑑がある――「なんで?」と思われるかもしれない。職業図鑑というと固く、とっつきにくいイメージ。本が売れない昨今の市況を差っ引いても、これほどの売上を記録するのは異例なことだ。

 その名も『日本の給料&職業図鑑』シリーズ(宝島社)。他の職業本とどう違うのだろう。

 例えば「薬剤師」の項目。ページを開くとまず目に飛び込んでくるのは、大きな杖を持ち、まるで魔法使いのようなローブをまとった女性のイラストだ。職業の紹介文には「街角の白魔道士」とある。それ以外にも社会福祉士は背中に白い翼が生えた青い服の男性のイラストで「ジェネラストエンジェル」、自動車学校教官は進入禁止のマークを魔法で出している男性のイラストで「ドライブマニュピレイター」など。世の中の職業をファンタジー風の味付けで紹介しているのが特徴だ。

 この切り口が反響を呼んだ。就職を控えた学生だけでなく、ゲームやアニメに親しんだ人々や子どもを持つ主婦層など、幅広い読者を獲得。16年1月に第一段が発売されると、7月には「日本の給料&職業図鑑 Plus」、17年3月には「女子の給料&職業図鑑」と続編が登場し、売れに売れている。

 なぜこのような本を作ろうとしたのか。著者の山田コンペーさんに話を聞くと、“色モノ企画”の枠に収まらない、「職業」に対する熱い想いが見えてきた。

●「仕事ってほんとはカッコいい」

「就職に悩んでいる人に向けて、何か助けになれないかという思いがこの本の出発点でした」

 そう語る山田さん自身、かつて職探しで苦労した経験があったという。

「僕は20代後半まで役者などをしながらぶらぶらしてました。ある時、転職を考えたのですが、改めて職探しを始めてみると世の中にはどんな仕事があって、どんな業務内容で、どれくらいお給料がもらえるのか、すごくわかりづらいことに気付いたんです」

 その後Webデザイナーの職に就いた山田さんは、2014年に「給料BANK」というWebサイトを開設。かつて自分が調べるのに苦労した、各職業の特徴や給料をファンタジー風のイラストと文章で紹介し始めた。「給料BANK」はやがて月間100万PVの人気サイトへ成長。そのコンテンツを『日本の給料&職業図鑑』として書籍化したのだ。しかし、なぜファンタジー風?

「もともとロールプレイングゲームが好きで、そうした世界のなかで描かれる職業に憧れをもっていました。卓越した剣術で敵をやっつける騎士、不思議な術で仲間をサポートする魔法使い……、自分独自のスキルで自分なりの活躍をする彼らはとてもカッコいい。でも、これは現実世界でも同じだと思うんです。だから、働く人々を“資本主義ワールド”で戦う冒険者に見立てて職業紹介をすることを思いつきました」

 山田さんのお気に入りは「高速道路の料金収受係」だ。地味な仕事に思えるかもしれないが、『日本の給料&職業図鑑』のなかでは、千手観音のようにたくさんの腕を生やし、凄まじい速度でお釣りを渡す人物として描かれる。ものすごく強そうだ。

「料金所スタッフの方々の動きをよく観察すると、素早く、スムーズに支払いを処理するスキルに感動します。まるで腕が何本もあるかのよう。そのイメージを膨らませて、こうしたイラストをつくりました」

 職業ごとのスキルや能力をファンタジー風に強調した紹介は、読んでいて楽しいだけでなく、普段はなかなか気付きづらい職業の魅力を教えてくれる。

「ある意味、自己啓発本のように楽しんでいただけているのかもしれません。お子さんのために購入される方も多いようです。子どもと一緒に読みながら『俺の仕事、カッコいいだろー』と説明するお父さん方もいらっしゃると聞きます」

 こうした間口の広さが、この本が多くの読者を獲得できた要因なのかもしれない。



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