日本の財政は大丈夫か。年金はもらえるのか。20、30代が抱える5つの不安を専門家に聞いた – BUSINESS INSIDER JAPAN

日本の財政は大丈夫なのか。債務残高は1000兆円を超え、GDPに対する債務残高比は200%を超える。今回の衆院選でも大きな争点の一つとして消費税の使途変更が挙げられ、もし増税分が教育無償化に割り当てられれば、2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化するという目標は実現不可能になる。

これから結婚・子育てを考えている20代30代にとって、教育費の無償化という政策は魅力的だが、財政再建を後回しにしてもいいのか、そもそもこのままで日本の財政は大丈夫なのか、という不安も募っている。

日本の財政の現状や今後の社会保障など、若い世代が漠然と抱える5つの不安について、立場の異なる2人の専門家、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストと中央大学法科大学院の森信茂樹教授に話を聞いた。

国会

日本の将来について、多くの若者が不安を抱いている。

撮影:今村拓馬

今、若い世代ほど漠然とした将来不安を抱え、消費よりも貯蓄に回す傾向が強まっている。

30歳未満の単身勤労者世帯の貯蓄現在高は、2014年では男性190.3万円、女性148.9万円で、女性は調査年による増減が大きいが、男性は概ね増加傾向にある。バブル期の1989年と2014年を比較すると、男性は+52.3万円(消費者物価指数を考慮した実質は+23.8%)、女性は+16.9万円(同+1.3%)である。

「将来年金をもらえるとは思っていない」

そんな声もよく聞こえるが、本当にもらうことはできないのか。

Q1.今の社会保障制度は持続可能か?今の20代は将来年金がもらえるのか?

既に社会保障の効率化は進んでいる。年金も過度な心配はいらないが、支給年齢を引き上げる余地はある(永濱)

永濱利廣(以下、永濱):社会保障の効率化は結構進んでいるから、今のところ過度な懸念はしていない。2015年度時点で、社会保障給付は2012年3月の政府推計よりも5兆円下振れ、つまり下回っている。

理由は、今までデフレ下で減額されていなかった年金給付が減額されたり、景気が良くなって失業給付が減ったりしているから。医療費も2016年度に14年ぶりに減少している。高額薬の使用が減少したことや、薬の公定価格(薬価)を全般に引き下げたことが効いている。

逆にいうと、効率化が進んでいるから消費が落ち込んでいる側面はある。ただでさえ消費増税で8兆円の負担増に加えて、本来受け取れるはずだった社会保障給付が5兆円程度下振れている。つまり13兆円ぐらい家計に回るお金が削減されているのだ。

永濱氏

現状日本の財政に過度な心配は必要ないと語る永濱氏。

今後は、(医療機関の)窓口負担を増やす、市販で買える薬は保険の対象から外す、後期高齢者でも裕福な人は医療負担費を2割に上げるなどの話が出ている。将来的には、マイナンバーを義務化して金融資産を多く持っている人には後期高齢者でも多く負担してもらう、という具体的な施策も考えられている。そうしたことを確実に実施すれば、財政的に過度な心配はいらない。

むしろ、急速に改革を進めたり、過度な不安を煽ったりすることで、消費者が財布の紐を締め、景気に悪影響を及ぼす方が心配だ。

年金も改革の余地がある。年金は税金からも払われるのだから、普段消費税を払っているのに保険料を支払わずに年金をもらう権利を放棄するのはもったいない。

ただ、日本より平均寿命が短い欧米諸国が年金支給開始年齢を将来67〜68歳に引き上げることを決めており、日本もいずれ70歳程度へ引き上げる余地がある。

年金ほど安全な資産運用はない。いくら少子高齢化が進んでも年金はもらえる(森信)

森信茂樹(以下、森信):年金は、今の世の中で最もリスクの少ない資産運用だ。税制優遇までされており、利回りが高い。年金を積み立てる時には社会保険控除があり、もらう時には公的年金等控除がある。仮に40年間積み立てて、20年間年金をもらえるとしたら、本来は3万円程度。それなのに5万円ももらえる。

膨大な積立金があるし、さらには基礎年金の半分に税金が投入されており、払った分が返ってこないことはあり得ない。いくら少子高齢化が進んでも年金はもらえる。

国民年金が少ないという話もあるが、そもそも月に1万5000円程度しか積み立てていないのだから5万円ももらえれば十分ということ。足りない部分は自己責任で積み立てるほかない。

Q2.プライマリーバランスの黒字化が遅れるとどのような影響があるのか?なぜ財政再建が重要なのか。

(注:プライマリーバランスとは国の基礎的な財政収支のこと。一般会計で歳入総額から国債などの発行(借金)による収入を引いた金額と、歳出総額から国債費などを引いた金額のバランス)

黒字化が遅れてもほとんど影響はない。債務残高だけ見てもあまり意味はない(永濱)

永濱:ほとんど影響はない。プライマリーバランスの黒字化が遅れて大変だと思っている人の主張は、国の財政の信任が失われ、国債が売られて、金利が跳ね上がり、通貨が暴落する、ということ。つまりマーケットへの影響を心配しているのだが、そもそも市場関係者で2020年に黒字化を達成できると思っている人はいない。 政府の見通しでさえ、赤字になっている。

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2019年10月に10%に消費増税してもプライマリーバランスは赤字の見通し

出典:財務省

さらに、G7でもプライマリーバランスが黒字なのは、ユーロ圏の恩恵を受けているドイツのみ。他国に何か問題が起こっているかといえば、そうはなっていない。

むしろ、ギリシャやアルゼンチンは無理矢理プライマリーバランスを黒字化させようとして歳出削減を行い、景気悪化を招き、事実上の財政破綻となった。これを日本に置き換えれば、無理矢理プライマリーバランスを黒字化させて、いつまでもデフレ脱却ができない悪影響の方が大きい。

では、なぜ財政再建が重要なのか。

企業が借金をして事業を続けているように、国も借金があっても問題はない。さらに国は永続する。

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2016年以降政府債務残高対GDP比は上昇していない

出典:第一生命経済研究所 経済調査部

ただし、政府の債務残高対GDP比が上昇し続ける状態だと、どこかのタイミングで信任を失う可能性はある。

ただ、2016年以降は政府債務残高対GDP比も上昇は止まっている。一方で、イールドカーブコントロール下の金融政策は財政政策と紐付けになっており、国債の発行が減ることで金融政策が引き締めになってしまう(BI注:イールドカーブコントールとは金融市場調整によって長期金利と短期金利の操作を行うというもので、具体的には短期金利はマイナス金利を適用し、長期金利は10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行う)。

こうした状況下では、むしろ国債を発行して金融緩和環境を維持し、経済を正常な状態にするのを優先すべきではないか。

将来に向けてのリスクを抱え込んだ。日銀が購入できる国債の量には限界がある(森信)

森信:今回、安倍政権が2回先延ばしした消費増税にコミットしたことは評価できる。使途を変更したことも、増税を受け入れやすくするという意味ではセカンドベストといえる。しかし、全世代型社会保障という名目で単に歳出を拡大するのはばらまきだ。本来は高齢者に偏っている支出を減らして現役世代に割り当てるべき。

一方、プライマリーバランスの黒字化が遅れる影響は、現状の日本銀行(以下、日銀)が管理しているマーケットではほぼ顕在化していないが、将来に向けての大きなリスクを抱え込んだといえる。

早急に新たな財政健全化目標を立てないと大きなリスクを抱え込むことになる。

確かに現状は金利が低い状態だが、日銀が国債を購入し続けるのにも限界がある。政府の新規国債発行額は30兆円強だが、日銀は年80兆円ペース(直近ではスローダウン)で購入している。 既に市場に出回っている国債の40%以上を日銀が保有しており、今後いつまでも購入できるわけではない。

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2017年6月末時点での日銀の国債保有残高は437兆円を超え、保有比率は40.3%を占める

出典:日本銀行

欧米が出口(金融政策の正常化)に向かいつつあり、日本だけが金融緩和を続けることも難しくなる。マーケットというのはグローバルに連動しているからだ。

このまま財政規律が緩み続ければ、マーケットに日銀は財政ファイナンスをしているという材料・弱みを見せてしまうことになる。過去にも何度か仕掛けられているが、国債の下落を狙って投機筋がやってくる可能性がある。ギリシャやスペインはそれでやられた。政府は、材料を人質にとられるような政策を取るべきではない。

Q3.ギリシャのように、日本が財政破綻する可能性はあるのか?

デフォルトはあり得ない。最大のリスクは円の暴落(永濱)

永濱:ギリシャやアルゼンチンと日本が決定的に違うのは経常収支。経常収支とは、海外とのモノやサービス、金融などの取引によって生じた所得の収支のこと。

事実上財政破綻したギリシャやアルゼンチンは経常赤字だった。経常赤字ということは、海外から資金を調達しないと経済が回らない国になっているということ。そうなると、仮に財政が悪化した時に、貸し手が減って経済が回らなくなる懸念はある。

日本は経常黒字。歴史を振り返っても経常黒字で財政危機に陥った国は基本的にない。

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ギリシャでは多くの若者が賃金カットや増税を盛り込んだ緊縮財政法案可決に反対した。

REUTERS/Alexandros Avramidis

さらに、日本は対外純資産を約350兆円と世界で最も所有している。 いざとなったら資産を売却して資金を国内に戻す余地もある。

そしてこれが最も重要だが、日本は国債の9割が国内で消化されている。日銀は政府の子会社のような存在でもあり、連結決算で見たら債務は相殺されると見ていい。日本は円建ての国債を発行しているから、いざとなったら日銀がお金を刷って国債を引き受ければいい。

最大のリスクは、財政破綻ではなく、円が暴落すること。野放図に財政を拡大して、日銀が引き受けると、世の中の円の量が増えるので円が暴落するリスクはある。

しかし、ギリシャのように国内産業の競争力がなければ暴落するかもしれないが、日本は科学技術をはじめとして国内産業の競争力が高い国であるため、そのリスクは小さい。日銀が大胆な金融緩和を行う前も「そんなことをすれば円が暴落してハイパーインフレになる」と言っていた人たちもいたが、現状そうはなっていない。

アメリカの経済学者ポール・クルーグマンは、日本は臆病になって大胆な行動ができないから本格的なデフレ脱却を行えていない、「臆病の罠」に陥っていると言っていたが、経済が正常化すれば出口に向かい増税できる環境になろう。

デフォルトする可能性はない。懸念は国際投機筋だ(森信)

森信:デフォルトする可能性はない。ただ懸念があるのはやはり国際投機筋だ。 1990年代前半にスウェーデンのクローネが暴落したが、クローネ安になったことで輸出が伸び製造業が回復した。円が暴落すれば同じようなことが考えられ、国が崩壊するわけではないが、年金受給世代を中心に、国民がインフレで大きな損害を被ることになる。つまりインフレタックス(BI注:貨幣価値の実質的な目減り)だ。

Q4.消費税は何パーセントまで引き上げなければならないか?

2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超・超高齢社会を迎える。財務省は、社会保障給付費は現状の約120兆円から約150兆円に上がると推定する。この「2025年問題」を乗り越えるために日本はどうすべきなのか?

将来的には消費税を欧米水準まで引き上げてもいいかもしれないが、急激に上げるべきではない永濱

永濱:実は2020年代は65歳以上の人口の伸び率が鈍化し、実は社会保障給付費が伸びにくくなる。2023年から団塊世代が後期高齢者入りするから急激に予算が膨らむと言われているが、財務省の推計では、80歳以上も含めて75歳以上全てを平均して出した一人当たり医療費を前提に数字を出しているため、実際の数値より大きく出ている。このため、増えていくのは間違いないが、2025年までに急増するわけではないと考えている。

景気のことを考えれば消費税だけでなく、相続税や純資産課税などを強化してもいい。経済がグローバル化しているので、法人税を引き上げるのは難しいが、将来的には消費税も日本だけ今の状態で低いままというのもまた難しいかもしれない。

このまま金融財政政策を続けて経済が正常化すれば増税する余裕も出てくると思うので、そうなれば国際水準に上げていってもいいのではないか。

OECD諸国の平均が19%程度であることを考えると、15%ぐらいには上げていく余地はあると思う。大切なのは、あげ方。他国を見れば、一気に消費税を3%も引き上げたケースは異例である。景気との見合いで徐々に上げていくのが重要だ。

2019年10月に10%。そのあとは財政再建目標をいつに設定するのか(森信)

森信:今から消費税20%が必要、といった話はしない方がいい。結局毎年の予算編成でやっていくわけで、まずは新たな財政目標を作る必要がある。それがないと予算編成ができない。

あとは常識的な話。ヨーロッパを見れば、「これだけの社会保障をやればこれだけの負担が必要」ということは国民にも自ずとわかってくる。現状、日本だけが中福祉・低負担というように、アンバランス。そこで急速に増税をしたら悪影響も大きく、徐々に国民負担を増やしていくことが必要。

森信氏

まずは財政健全化目標について議論すべきと語る森信氏。

アベノミクスの最大の問題は負担の議論に蓋をしてきたこと。それが小泉進次郎氏など若手議員のこども保険の提言もあり、議論されるようになってきた。 若者の将来不安を解消するためにもきちんと財源について考えるべきだ。

若者の将来不安を解消していくためにもきちんと財源について考え、若い世代も負担の問題に逃げずに考える必要がある。今回の衆院選では、希望の党など皆消費税凍結となり、結果的に自民党・公明党だけが負担と給付の在り方に整合性のある主張をしたことになった。

消費増税は、まず2019年10月に10%に上がるが、その先は、財政再建目標がないと決められない。プライマリーバランスの黒字化をいつにするのか。2022年なのか、2023年なのか。まずはそこの議論から始めないといけない。

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「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」を明記

出典:首相官邸

金融政策を出口に向かわせるためにも財政再建が必要。つまり、いつまでも財政赤字を拡大し続ければ、日銀が国債を購入し続けることになる。 財政が健全化し、国債発行を減らさないと出口には向かえない

出口戦略は金融政策の話だと思われているが、財政の話だ。財政再建とセットで議論しなければならない。

このことについて政府と日銀は2013年1月に、アコード(共同声明)を結んでいる。 しかし、政府が財政規律を緩めたままだから、全ての責任を日銀が一方的に押し付けられている。

Q5.どの政党の「教育無償化」の実現可能性が高いか?

今回の衆院選では、各党が公約で教育の無償化を掲げている。自民党は消費増税分の使途変更、希望の党は増税せずに歳出カット+内部留保課税、立憲民主党は消費税の引き上げなしは明記しつつも代替案は掲げていない。民進党代表選で枝野氏は所得税や金融所得への課税強化、教育国債の発行を掲げていた。

自民党案+景気条項がベスト(永濱)

永濱:教育は人への投資なので無償化は経済にとってプラス。さまざまな研究で言われているように、幼児教育がその後の人の収益性を高める意味では重要なので、幼児教育はなるべく無償化に近づけるべきだと思う。 現状でも小・中学校の家計負担は小さくなってきているので、高校もなるべく負担を減らしていくべき。

大学はオーストラリアの「出世払い方式」が良いと思う。もしくは、社会資本向けに発行される建設国債を人的資本向けも含めた投資国債という形に変えて、教育国債を発行しても良い。

とはいえ、自民党の案を全否定するわけではない。自民党が主張するように、2019年時点で経済が正常な状態に戻っていれば、予定通り消費税を上げて使途を見直しても良いと思う。しかし、2年後は分からない。

2019年後半はオリンピック特需もピークアウトしている可能性もあるし、アメリカも景気回復が10年超えているわけだから、景気後退の可能性もある。そこで無理矢理消費税を上げるのは最悪。ならば、今消えている景気条項(BI注:2012年8月に成立した消費増税法では『消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施』と明記、具体的には名目経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指すと明記された。しかし2015年3月に成立した消費増税法改正案では景気条項が削除された)を再び追加し、景気の状況を見て判断するべき。

もし2019年に消費増税ができなければ、8%に上げた時の増収分の約4割、借金返済に使われている3.4兆円の一部を使っても良いと思う。

現時点で景気回復を諦めるのも良くないので、自民党案に景気条項を加えるのがベスト

希望の党は、消費増税せずに政府の債務残高を減らすという主張をしており、よく見ると与党以上の緊縮財政。内部留保課税は、ビジネス界やマーケットには受け入れられず、民主党政権時代のように株安を招くだけだと思う。

希望の党の公約は非現実的(森信)

森信:結果的には安倍政権が最も財源について考えているということになる。枝野氏が9月の民進党代表選で主張していた金融所得への課税強化は反対ではない。金融所得を得ているのは富裕層で、今は分離課税で20%しかない。しかし大幅に上げると海外に逃げたりマーケットが崩れる可能性があるので小幅で上げるべき。5%上げても財源は3,000億円程度ではないか。

教育国債は、赤字国債の言い換えに過ぎないから反対。それに、大学無償化ほど安易で無駄な政策はない。大学教育の便益は多くの場合個人に帰属するし、質の悪い大学ができるだけだ。

希望の党のベーシックインカムは、財源問題の他にも勤労モラルの問題がある。コンビニの店員やゴミ掃除などキツい仕事をやる人がいなくなる。そうするとキツい仕事の給料がどんどん上がらざるをえない。そうではない業種は、ベーシックインカムをもらっているのだからといって給与が下がる可能性がある。おそらく、ベーシックインカムで期待していることと逆のことが起きると思う。また、富裕層も含めて無条件に配るというが、そのことがいかに無駄か、全く理解できない。

また歳出カットの話も、私は財務省にいたからよく分かるが、「身を切る改革」というような抽象的な言葉では、兆単位の財源は絶対に出てこない。民主党政権が信頼を失ったのは、財源なく子ども手当を配るという公約で実現できなかったからだが、同じことが起きるだけだろう。

内部留保課税についても、韓国など海外の事例を見ると結局配当金に流れてしまう。その結果喜ぶのは、外国人投資家か、持ち合い株の企業。2割弱の個人投資家も潤うが、それは高所得者。そうなると、結局一般の人にはお金が回らない。これで消費税凍結に代わる恒久財源を求めるという発想は、経済の実態が分かっていないのではないか。野党はもう少し経済政策を磨く必要がある。

(文・写真:室橋祐貴)


永濱利廣(ながはま・としひろ):第一生命経済研究所経済調査部・首席エコノミスト。内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事兼事務局長なども務める。1995年早稲田大学理工学部卒、2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。

森信茂樹(もりのぶ・しげき): 中央大学法科大学院教授、東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省に入省、主税局などを経て、財務省財務総合研究所長を最後に退官。著書に『日本の税制 何が問題か』『抜本的税制改革と消費税』『日本が生まれ変わる税制改革』など。

30年目の正念場(十字路) :日本経済新聞 – 日本経済新聞

 1987年10月19日のブラックマンデーから、今日でちょうど30年がたった。「暗黒の月曜日」には米ダウ工業株30種平均が20%超下落した。当時はワシントンに駐在しており、米政界が原因究明に奔走した過程を覚えている。

 議会の公聴会には、米連邦準備理事会(FRB)の議長に就任して間もないグリースパン氏が喚問された。FRBが株式市場の規制監督に関与すると、株価暴落時に証券会社を救済するといった誤解が生じると同氏は説明。特段の金融緩和策を講じなかった。グリーンスパン氏が率いるFRBは後年、相場下落時に機敏に利下げしたが、それはこの時の反省なのかもしれない。

 相場が大きく下げた原因として、当初は財政赤字と経常収支赤字の「双子の赤字」、それに伴うドル安が犯人とされた。しかし当時のレーガン政権は、自らが推進した大幅減税によって財政赤字が拡大して、それがドル安と相場の大幅下落を引き起こしたことを認めるわけにはゆかなかった。そこで議論がすり替えられ、株式市場の機能不全が相場急落の原因だとされた。

 やり玉に挙がったのは株価指数先物を利用した裁定取引だ。先物を利用して相場が下落した時の損失をヘッジする「ポートフォリオ・インシュアランス」などプログラム取引も糾弾された。現代でいえばアルゴリズムを利用した超高速取引や、機械学習型人工知能を駆使したクオンツ・ファンドなどに相当するであろう。87年当時の論争は、相場急落時に取引を一時的に停止する「サーキットブレーカー」の導入で落着。根本的な原因は不問に付された。

 現在も緩和的な金融政策の下で高リスク商品への投資が活発化し、一部ではバブルの兆候も見られる。相場が荒れる引き金になりそうなことには欠かない。市場は再び暴走するのか。FRBが守護神として阻止するのか。正念場はいずれ到来する。

(法政大学教授 渡部亮)

韓中、米による「為替操作国」指定回避-Chosun online 朝鮮日報 – 朝鮮日報

 米財務省が17日発表した主要貿易相手国の為替政策報告書で、韓国は4月に続き、「観察対象国」(モニタリングリスト)に含まれた。韓国が懸念していた「為替操作国」への指定は回避したが、米国による通商圧力に引き続き直面することなった。

 トランプ米大統領が「貿易報復」を公言してきた中国も韓国と同様に「観察対象国」とされ、今回の報告書で「為替操作国(深層分析対象国)」に指定された国はなかった。韓国と中国のほか、日本、ドイツ、スイスなど5カ国が観察対象国となり、4月に含まれていた台湾は除外された。

 米国は対米貿易黒字(200億ドル超)、経常収支黒字(対GDP比3%)、為替市場介入(対GDP比で買い越しが2%超)という3条件を適用し、毎年4月と10月に貿易相手国を分析し、議会に報告している。3条件を全て満たすと為替操作国、2条件を満たせば観察対象国に分類される。

 韓国は昨年4月、初めて観察対象国に分類され、トランプ政権発足後初の報告書となった今年4月を含め、4回連続で観察対象国になった。今回の報告書では、韓国は経常収支黒字がGDPの5.7%、対米貿易黒字が220億ドルとなり、2条件を満たした。

 中国は3条件のうち、対米貿易黒字だけが条件に該当したが、黒字規模が巨額だという理由で観察対象国となった。中国の対米貿易黒字は昨年7月から今年6月までで3570億ドルで、2位日本(690億ドル)の5倍を超えた。

 為替操作国に指定されると、米国は該当国の企業が米連邦政府の調達に参入することを禁止し、為替操作国に投資を行う米企業には金融支援を中断する。専門家は米国が中国を為替操作国と指定するため、適用基準を引き下げれば、韓国も米中貿易紛争に巻き込まれるリスクがあると指摘している。

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韓国、為替レート操作国指定免れ…「当面のリスクを回避」 – The Hankyoreh japan (風刺記事) (プレスリリース)

登録 : 2017.10.18 21:46 修正 : 2017.10.18 21:46

米財務省、韓国「観察対象国」に指定 
対外経済不確実性は減り 
ムーディーズ、信用等級「安定的」を維持

国際通貨基金・世界銀行(IMF・WB)年次総会出席のために米国ワシントンを訪問したキム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官が12日(現地時間)、ムーディーズ信用評価社のAlastair Wilsonグローバル総括と面談している=企画財政部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国経済が米国による為替レート操作国指定という対外リスクを避けることになった。国際信用評価社のムーディーズも、韓国の信用等級を従来水準に維持することにした。  18日、企画財政部によれば、米財務省は10月の為替レート報告書で、韓国を4月に続き「観察対象国」に指定した。米財務省は毎年4月と10月に為替レート報告書で、対米貿易収支黒字(200億ドル超)と経常収支黒字(GDP対比3%超)が極めて大きく、当局が為替レート市場に一方向的介入(GDP対比2%超の純買い越し)の有無などを判断し、為替レート操作国を指定する。韓国は、貿易・経常収支の黒字要件だけを満たしたため、為替レート操作国ではなく観察対象国に分類された。中国、日本、ドイツ、スイスも観察対象国に指定された。為替レート操作国に指定される場合、1年以内に是正されなければ投資制限、米国調達市場への参加禁止などの制裁を受けることがある。韓国ではこれまで通商圧力の一環として為替レート操作国に指定されかねないという憂慮が提起されてきた。  この日、国際信用評価社のムーディーズは、韓国の信用等級を現在の水準(Aa2,安定的)のまま維持すると発表した。これは3番目に高い信用等級で、韓国より信用等級が高い国は最高等級(Aaa)の米国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、シンガポールの5カ国だけだ。ムーディーズは、韓国の強い経済回復力、財政健全性、透明な政府制度を高く評価し、現行等級を維持すると明らかにした。  ムーディーズは「韓国は今後の5年間、2~3%台の堅調な成長が予想され、革新成長と関連しても高い競争力を持っている」として「設備投資の増加傾向が堅調で、輸出も増えていて民間消費もまた回復傾向を見せている」と評価した。ムーディーズは文在寅(ムン・ジェイン)政府の「人が中心の経済成長方案」に対しても高く評価した。報告書は「需要の側面で家計所得の増加と働き口創出に、供給の側面では規制緩和、中小企業支援などを通した生産性の向上に焦点を合わせている」として「財閥改革など公正経済の確立も推進中で、実を結ぶ場合、潜在成長率の上昇および制度的安定性も補完されると予想される」と明らかにした。 ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr ) 韓国語原文入力:2017-10-18 18:52
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/815049.html 訳J.S(1253字)

米国の為替報告書 韓国を引き続き「監視対象」に-Chosun online 朝鮮日報 – 朝鮮日報

【世宗聯合ニュース】韓国企画財政部によると、米財務省は18日(現地時間17日)発表した主要貿易相手に関する為替報告書で、前回の4月に続き韓国を「監視対象」に指定した。制裁措置の対象となる「為替操作国」指定は免れた。

 米政府は半期ごとに主要貿易相手を対米貿易黒字の大きさ、経常収支黒字の対国内総生産(GDP)比、為替介入の割合を基準に分析し、4月と10月に為替報告書を議会に提出している。この三つの基準すべてが該当すれば為替操作国に指定される。

 韓国は昨年10月とトランプ新政権発足後初の報告書提出となった今年4月に、中国、日本、台湾、ドイツ、スイスと共に監視対象に分類された。今回も中国、日本、ドイツ、スイスと同じく監視対象に指定された。台湾は監視対象から外された。

 報告書は韓国について、経常黒字の対GDP比(5.7%)と対米貿易黒字(220億ドル=約2兆4700億円)の二つが該当すると判断。内需活性化の必要性に言及する一方、前回の報告書と同様に為替市場介入の透明性を高めるべきだと強調した。

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玉野市長選は新人と現職一騎打ち 22日投開票 – 山陽新聞

井上素子氏(左)と黒田晋氏

 任期満了に伴う玉野市長選は15日告示され、新人で市民団体代表委員の井上素子氏(70)=同市玉、現職で4選を目指す黒田晋氏(54)=同市東七区=がいずれも無所属で立候補した。衆院選と同じ22日に投票、即日開票される。

 両候補は出陣式で第一声。井上氏は「行財政改革で福祉、市民生活支援の財源を生み出す」、黒田氏は「公共施設の再編整備を進め、サービス向上を目指す」と訴えた。

 玉野市は「平成の大合併」と一線を画し単独市制を維持したものの、人口減少や高齢化が進む。選挙戦では厳しい財政の健全化を図りつつ、移住・定住促進や産業振興でまちの活力をどう生み出していくかが問われる。井上氏は共産党、黒田氏は自民、公明両党から推薦を受けている。

 投票は22日午前7時~午後6時、市内28カ所で行われ、同7時半から市総合体育館(同市玉)で開票される。

 14日現在の有権者数は5万2509人(男2万5314人、女2万7195人)。

韓国経常黒字のGDP比「今年は5.6%に縮小」=IMF-Chosun online … – 朝鮮日報

【ワシントン聯合ニュース】国際通貨基金(IMF)は13日に発表した地域経済見通しで、韓国の経常収支黒字が今年と来年は国内総生産(GDP)比で6%を切るとの予測を示した。

 韓国の経常黒字のGDP比は2015年が7.7%、16年が7.0%だったが、IMFは17年が5.6%、18年は5.4%に縮小すると見込んだ。

 この数値は米国の為替操作国認定基準の一つ。米国は対米貿易黒字が200億ドル(約2兆2400億円)以上、経常黒字がGDPの3%以上、為替介入の規模がGDPの2%以上という三つを満たした国を為替操作国に認定し、三つのうち二つに該当する国を監視対象に置く。

 韓国はトランプ政権下の今年4月、対米貿易黒字と経常黒字が基準を満たしたとして、中国、日本、台湾、ドイツ、スイスとともに引き続き監視対象とされた。米国は15日に為替報告書を発表するが、依然として二つにしか当てはまらないため為替操作国に認定される可能性は低いと韓国政府は見込んでいる。

 一方、IMFは韓国の中期的な成長を妨げる要素として人口学的要因や労働市場のゆがみ、低い生産性などを挙げた。また、韓国の消費は政府の財政支援や最低賃金引き上げなどを受けて好転すると見込んだ。

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