東芝ショック「10のキーワード」で理解 二度ある事は三度ある? – ZUU online



上場廃止の可能性も起こり得る「東芝ショック」。いまいち流れが把握できていない人のために10のキーワードで整理してみた。

1. ウェスチングハウス(WH)買収

東芝が世界的な原発会社である米WH社を買収したのは06年10月だった。買収の総額は54億ドル(当時で約6600億円)。入札額は、米GEや三菱重 <7011> と競ったことで高騰。当初予想落札価格の2倍とも言われる値段での入札となった。東芝の転落はこのときから始まった。

2. 巨額の「のれん代」

企業買収時に発生する買収額と企業の純資産価値の差額をのれん代という。東芝はWHの「のれん代」を約3500億円計上した。のれん代は長期にわたって償却していく必要がある。東日本大震災の原子力発電所事故で世界の原発の方向性が変わってしまった。WHが期待していたキャッシュフローを生み出さないだけでなく、発電所建築費が予想を大きく上回ったことでWHの純資産価値が大きく低下した。巨額なのれん代の減損処理に追い込まれていくことになる。

3. 1回目の東芝ショック

1回目の東芝ショックは15年に起きた。一部のマスコミ等がWHについて巨額減損の必要性が必要と報道した。

東芝は、5月に予定していた15年3月期の決算発表を延期し、第三者委員会で決算を精査することとした。第三者委員会は7月に、09年3月期から15年3月期までの7年間に渡る不適正会計を認め累計で営業利益1518億円の下方修正が必要だと発表した。WH事業、TV事業費、半導体事業、パソコン事業など各カンパニーに広まっていた。

最終的な決算訂正による利益の減額は約2130億円に達し、3代にわたる歴代の社長が引責辞任に追い込まれた。

4. 「チャレンジ」が東芝不適性会計問題を引き起こす

不適正会計問題を引き起こしたのは「チャレンジ」問題だった。経営陣は分社化された各カンパニーに対し厳しい目標を設定し、「チャレンジ」と称して必達することを求めた。リーマンショックなど世界的な不況が直撃したことで、各カンパニーはチャレンジに応えるため徐々に不適切な会計処理をするようになった可能性が指摘されている。

5. 東芝上場廃止懸念

東証は15年9月15日に東芝を特設注意市場銘柄に指定した。東証が上場企業として問題がある企業に関して株主に注意を呼びかけるためのもの。この指定を受けると、指定日から1年6ヶ月以内に「内部管理体制確認書」を提出しなければならない。

東芝は15年9月に一度確認書を提出したものの不十分として再提出を求められ、17年3月15日に再提出している。東証は2017年15日から、東芝を監理銘柄(審査中)に指定した。今後同社が再提出する内部管理体制確認書の内容等を確認し、改善がなされなかったと認められた場合には、上場廃止が決定される。

また、債務超過(負債が会社の資産の総額を超える状況)で上場基準に抵触する可能性もある。東芝は現状の決算見通しならば、17年3月期に債務超過になる。債務超過になると東証2部に降格となり、債務超過を1年以内に解消できなければ上場廃止基準に抵触する。

6. 2015年の経営危機とリストラ

1回目の東芝ショックで、株価は14年末の512.4円から16年2月までに安値155円まで下げた。

東芝は、1万4千人の人員削減、不採算事業である家電部門は中国の美的集団に売却するなど事業の集約でリストラを進めた。債務超過を避けるために、優良子会社であった医療機器の東芝メディカルシステムズを6655億円で売却した。結局、16年3月期決算は、事業会社で過去最大となる7191億円の税引き前の赤字、4832億円の最終赤字を計上した。

7. 2回目の東芝ショックと2度の決算発表延期

2回目の東芝ショックが16年12月に起きた。12月27日に一部マスコミが、東芝がWHで1000億円規模の特損を計上する見通しであることを報じた。1月19日には日本経済新聞にて「東芝、損失5000億円超も」、2月12日には「東芝、最終赤字4000億円」と報道された。東芝は12月26日の引け値443.1円から急落2月17日安値の178円まで下げた。

2月14日の決算発表時には、監査法人の精査が終わらなかったことを理由に決算発表を3月14日に延期したが、さらに延期を申請。約1カ月後の4月11日に発表することを認められた。

8. 原発撤退とWHのチャプター11申請

東芝は、WHの株式過半を売却して原子力事業から撤退する方針を決めた。さらに、WHに対し日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)を申請することも検討しており、これ以上減損額が増えないようにしていく方針だ。

米格付け会社のスタンダード&プアーズ社は17日、東芝の長期会社格付けを「CCC+」から「CCC-」へ2段階引き下げた。

9. 「東芝メモリ」など子会社売却

債務超過解消のためには財務体質の強化が必須となる。子会社の売却などで資産の増強を急ぐ必要がある。東芝の基幹事業である半導体事業も例外ではない。

「東芝メモリ」として分社化し、資本の過半を競売で売却する意向だ。一次入札は3月29日が予定されており最大2兆円にも達するとの見方が浮上している。東芝メモリが順調にスピンオフ出来れば債務超過危機は解消出来る見込み。

グループに属している東芝テック <6588> など7社の上場会社、非上場会社、不動産なども売却も対象としてあげている。技術の海外移転が懸念し、公的資金を活用した救済案も浮上している。政府系の銀行である日本政策投資銀行や官民ファンドの産業革新機構との連携による買収案が出てきている。

10. 東芝で大手銀行にも損失拡大の恐れ

東芝の主要取引銀行は、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託の3行。16年3月末の融資残高は三井住友1743億円、みずほ1743億円、三井住友信1260億円。主要行以外では、三菱東京UFJ銀行は1053億円、三菱UFJ信託銀行は620億円の残高だ。

銀行団は3月末までの協調融資は継続することで合意した。4月以降の融資については損失の確定、今後の再建案などを見ながら協議を続ける。メガバンク各行も東芝の債権者区分を引き下げ、貸倒引当金を積みます必要がでてくる。

東芝ショックは、東芝だけでなく、メガバンクや日本企業の問題として拡大してきた。かつても、大企業の不正問題や倒産が外人投資家の日本株の売り要因となったことが何度もあったことには留意したい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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