社説/TPP11大筋合意−早期発効が通商戦略にプラス – 日刊工業新聞



2国間の自由貿易協定(FTA)では海外諸国に後れをとっている日本が、最も先進的な多国間協定で主導的役割を果たした意味は大きい。早期発効を目指すとともに、今後の日本の通商戦略に生かしてもらいたい。

環太平洋連携協定(TPP)参加国のうち、米国を除いた11カ国が新たな協定に大筋合意した。直前の千葉での高級事務レベル会合まで日本が協議をリードし、TPPの一部を凍結した形で合意にこぎ着けたことを高く評価する。

むろん、米国の不参加によってTPPの経済効果は当初期待した水準には届かなくなった。FTA戦略の遅れをTPPで一気に取り戻すという日本の思惑も、半ばしか機能しない。

それでも産業界は10月に、経団連など4団体が連名で「TPP11」の早期実現を強く求めた。協定に定める質の高い自由化は「アジア太平洋地域にまたがる企業の高度なバリュー・チェーンを制度的に支える基盤となる」からだ。

日本の通商戦略の面で、新協定はさまざまなプラスがある。ベトナムなどの新興国を含めた質の高い協定が発効すれば、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など他の協議に影響を与える。中国などの通商政策に対しても、より広範な自由化を促す役割が期待できる。

また米国トランプ政権は自国に有利な条件を獲得しようと、日本に2国間経済協議を求めてきた。この交渉でも日本がTPPの理念や合意内容を示すことで「米国第一主義」の行き過ぎを戒めることができよう。

トランプ政権の関心は自国の貿易収支の金額に傾きすぎており、いずれ修正されるとみる通商関係者が少なくない。日本としてはTPP11の経済圏を発展させ、米国の復帰を待つ戦略が正しい。最終局面でカナダが合意に難色を示すなどの問題もあったが、新協定を確実にゴールさせてもらいたい。

今年は欧州連合(EU)との経済連携協定とTPP11の合意という通商上の大きな成果があった。日本経済の再生に向け、力強い歩みを続けたい。



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