堺市の公立保育所、こども園に全面移行へ 新制度きっかけに再編の動き – 福祉新聞WEB

槙塚こども園の桜咲く園庭で遊ぶ園児たち

 大阪府堺市は2017年度から、これまで20カ所あった公立保育所のうち18カ所を幼保連携型認定こども園に移行させた。残りの2カ所も民営化し、いずれ公立保育所はなくなるという。関係者は「今後こうした動きは全国に波及するのでは」と話す。実態を聞いた。                

  大阪府にある人口84万人の堺市。16年度、幼稚園や保育所、認定こども園、地域型保育など就学前施設は205カ所に上る。このうち公立の施設は、保育所20カ所、幼稚園10カ所。幼保連携型認定こども園はなかった。

 こうした中、堺市は17年度から公立保育所18カ所を公立の幼保連携型認定こども園に移行させ、1カ所は民営化。残りもいずれ民営化するため、公立の保育所はなくなるという。

 すべての公立保育所を認定こども園に移行させる理由について、徳山浩美・堺市子ども青少年局子育て支援部保育総括参事は「より質の高い保育と教育を提供できる」と説明する。

 15年度から始まった子ども・子育て支援新制度で認定こども園は、就学前の子どもに教育と保育を一体的に提供する施設だ。認定こども園で働く保育教諭には、保育士資格だけでなく幼稚園教諭の免許も必要になる。公立の保育教諭には、採用1年目や10年目の研修も義務化される。

 また、認定こども園は地域へのメリットも大きいという。

 保育所の場合、たとえ隣に住んでいても子どもに保育の必要性がなければ入所はできない。また、共働き夫婦の一方が仕事を辞めると保育が必要ないとされ、途中で退所を余儀なくされるケースもあった。認定こども園ではこうした問題が解消する。

 さらに、認定こども園は、地域の子育て支援としての機能も果たす。子どもを一時的に預けられる「リフレッシュ預かり」や、親子で参加できる育児教室なども引き続き実施するという。

 花田研一・堺市子ども青少年局子育て支援部幼保運営課長は「公立保育所で培ったノウハウを継承しながら、さらに教育・保育内容を充実させて運営をしたい」と話した。

民間保育園が先行

 堺市が踏み切った背景には、市内の民間保育園の動きもあるという。14年度に87カ所だった民間保育園は、17年度には19カ所を残し認定こども園に移行した。

 さかい民間教育保育施設連盟会長の永野治男・槙塚こども園長は「子どもにとってのメリットが大きいことから、市内の保育園に呼び掛けて一斉に移行を決めた」と説明する。財政的にも槙塚こども園は16年度前年比で収支が1000万円以上プラスになったという。

 ただ、永野園長は「認定こども園は教育を打ち出せることもあり、託児所と見られてきた積年の思いを払拭したかった」と本音も打ち明ける。

 その上で「堺市は公立保育所の民営化なども先駆的に行い、ほかの地域にも波及した過去がある。今後、全国で堺市のような動きは進むのでは」と語る。

 保育行政に詳しい寺田清美・東京成徳短大教授も「新制度をきっかけに、公立の保育所や幼稚園を再編する流れは止められないのでは」と推測する。

 実際、堺市では公立認定こども園の民営化を進め、12カ所まで減らす予定。また、10カ所ある公立幼稚園も順次廃止の方向となっている。「公立は人件費の占める割合が高い場合が多い。運営や建設に対する国の補助金が廃止されるなど、財政負担が重く、現状維持も難しい。民営化すれば休日保育など法人独自のサービスが広がるメリットもある」と寺田教授は指摘する。

 また、これまで幼稚園には都道府県からの私学助成、保育園には市町村からの運営費が出る仕組みだったが、新制度では「施設型給付」が創設されるなど市町村は財政的にも安定するという。

 寺田教授は「新制度では自治体の裁量も大きい。働く女性の増加など地域の実情に合った教育・保育サービスが求められている」と話している。

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