トランプ政権が税制改革に着手するとドル円はどっちに向かうのか? – エキサイトニュース



■FRBはバランスシート縮小議論へ

3月24日、トランプ大統領の公約の柱であったオバマケアの廃案が頓挫したことをきっかけに、ドル円相場は一時1ドル=110円台前半まで円が急騰しました。

株価やドルとともに、トランプ大統領の支持率も急降下しています。そもそも歴代最低の45%でスタートした支持率があっという間に36%まで低下し、不支持率は57%と支持率との差がどんどん拡大しています。

ちなみに、オバマ大統領は在任期間中の最低支持率が38%でしたので、最初の100日でこの水準をあっさりクリアしてしまいました。ブッシュ大統領(息子)の最低支持率25%が次のターゲットとなる模様です。

支持率の回復はまだ期待できそうにありませんが、難航が予想されたオバマケアの廃案をさっさと放棄したことで、いよいよ次は税制改革に取り組むとの期待が高まっており、ドル高への回帰を予想する声も少なくないようです。

■“国境調整”が次の焦点へ

トランプ大統領はオバマケアの代替法案を撤回し、次は税制改革に取り組むことを表明していますが、税制改革での最大の山場は“国境調整”となります。

トランプ大統領が公約していた“国境税”は海外移転企業からの輸入品に対して課税するという、比較的シンプルは発想に基づいています。

一方、共和党が提示している輸出の課税を免除して輸入課税は強化する法人税の国境調整は、ルールが複雑でわかりづらく、トランプ政権内からも反対の声があがっています。

もちろん、輸入品に対して課税しますので、貿易戦争を引き起こす恐れがあるほか、世界貿易機構(WTO)のルールにも抵触します。さらに、小売業界からの強い反発もあります。

法人減税や所得減税のみであれば、共和党が多数を占める議会で賛成を得られる可能性は高く、問題は財源という話に落ち着くと思われます。

ただ、法案には国境調整が盛り込まれる見通しで、調整には難航が予想されていますので、今回の通称トランプケアと同様の運命を辿る可能性も排除できません。また、審議されたとしても大幅に修正されることになりそうです。

■“反保護貿易”削除はFRBのバランスシート縮小を促す?

3月18日に閉幕した20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)では、声明から“反保護貿易”が削除されました。貿易赤字とドル高を懸念する米国の意向が反映された格好です。

一方、イエレンFRB議長はG20直前に開かれた3月のFOMCで、バランスシートの縮小が議論されたことをしれっと述べています。FRBが量的緩和で購入した国債等は借金ではありませんので返す必要はありません。基本的にはそのまま保有していても何の問題もありません。

現在、FRBは4兆5,000億ドル程度の資産を保有していますが、保有を増やさないのであれば、経済が成長するに従い対GDP比率が低下しますので、いずれは適正な水準に落ち着くことになります。バーナンキ前FRB議長は、あと10年もすれば現在の保有額は適切になると述べています。

では、なぜFRBはバランスシートの縮小を議論しているのでしょうか?

答えはドル高になりにくいと考えられているからです。一般に、為替レートは短期金利により大きく反応しますが、バランスシートの縮小は短期よりも長期金利に与える影響が大きいと考えられています。イエレン議長は、バランスシートの縮小は10年債利回りを0.15%押し上げる効果があり、これは0.25%の利上げ2回分に相当するとしています。

FRBはごっそりと買い込んでしまった国債の処理について共和党からいつも詰め寄られています。一方、トランプ政権が対米貿易黒字国の通貨安を問題していることから、ドル高を招く恐れのある利上げが気まずいことは確かです。

以上を踏まえると、ドル高を招きかねない利上げに替えて、同様の効果でドルへの影響がより小さい可能性があるバランスシートの縮小を今後の選択肢として検討している可能性があるわけです。

■4月は円高イベントを全力で警戒へ

トランプ大統領はいよいよ税制改革に本腰を入れる見通しです。期待通りとなれば、再びドル高への回帰が見込まれますが、期待通りとならないリスクも小さくはなさそうです。

また、FRBはドル高の回避に有効との見方から、利上げではなくバランスシートの縮小も選択肢として検討し始めた模様です。

こうした中で、4月中旬には米財務省から為替報告書が公表され、ほぼ同時に「日米経済対話」も始まります。目先はこれらの政治的イベントで、米国が円安修正につながるような圧力をかけてこないかどうかが注目されます。



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