トランプ氏、関税下げ要求 G7サミット 日欧と溝 – 日本経済新聞

 【タオルミナ(イタリア南部)=河浪武史、竹内康雄】日米欧7カ国(G7)首脳は26日、主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)で貿易や気候変動を討議した。初参加のトランプ米大統領は貿易で各国に関税の引き下げを要求。気候変動では日欧が米国に温暖化対策の国際枠組みに残るよう迫ったがトランプ氏は回答を留保した。討議の主要部分で日欧と米に溝が生じる異例の展開だ。

 サミットは2日間の日程で協議し、27日に首脳宣言を採択して閉幕する。G7はこれまで首脳宣言で「あらゆる形態の保護主義に対抗する」としてきたが、トランプ米政権が文言変更を強く要求。「反・保護主義」を削る方向で調整している。

 貿易の協議に参加したコーン米国家経済会議委員長によると、トランプ氏は「公正で自由で相互的な貿易を進めるべきだ」と主張。「相互的とは、米国が低関税なら相手国も合わせるべきだということだ」と述べ、各国に関税下げを要求した。

 トランプ氏は「相手国の関税が30%なら米国も30%に引き上げる」とも述べ、各国との通商協議が不調に終われば対抗措置に踏み切る考えを示唆。輸入時の自動車の検査体制を挙げて、各国の非関税障壁も「厳しすぎる」と批判した。

 食糧安全保障などの観点で一定の保護が必要な場合、関税などで自国産業を守ることは国際的に黙認されている。トランプ氏の発言は、競争力の高い米国の農産品と日本の農産品を同率関税で競わせることを意味する。他方、自動車分野では日本の関税はゼロだが米は2.5%、ユーロ圏は10%の関税を課している。

 1カ国だけに高関税を課せば世界貿易機関(WTO)ルール違反となる。WTO協定上は米国に高関税を課された相手国は報復措置を取れる。貿易戦争の懸念が強まりかねず、各国に困惑と反発が広がりそうだ。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は年7千億ドルを超すモノの貿易赤字解消を求めている。25日には「ドイツとの貿易はとても悪い」と不満をあらわにしていた。独メディアによるとメルケル独首相は26日、ドイツ勢の対米直接投資の多さを挙げ「(貿易と投資の)両面をみるべきだ」とトランプ氏の主張に反論した。

 一方、気候変動の討議では欧州の首脳がトランプ氏に温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」残留の利点を説いた。安倍晋三首相は「米国が引き続き気候変動の問題にリーダーシップを発揮していくことが決定的に重要だ」と述べた。

 トランプ氏は「環境問題は私にとり非常に重要だ」とは応じたが、同協定にとどまるとは明言しなかった。米政権内部での意思統一が終わっておらず、サミット後に態度を明らかにする予定だ。

 米側は「ここ(欧州)で学んで知見を身につけ、大統領の見解は進化している」(コーン氏)と説明。同氏は「最終的な決断の根拠は何が米国にとって良いかだ」と語り、協定離脱を前提にした当初の姿勢は和らいでいるとの考えを示唆した。

こんな記事も読まれています

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です