希望の党や立憲民主党の経済政策は若者を絶望に追いやることになる【評論家・江崎道朗】 – 日刊SPA!



江崎道朗のネットブリーフィング 第22回】
トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

注目の希望の党は経済オンチだった

江崎道朗

江崎道朗(撮影/山川修一)

 今回の総選挙では、民進党の一部が合流した「希望の党」がどこまで躍進するのかに注目が集まっている。その「希望の党」の公約を読んだが、これは若者を「絶望」に追いやる経済政策だ。こんな無茶苦茶な政策では経済成長は止まり、再びデフレに陥ることになるだろう。

 急速に悪化している国際情勢に対応して憲法改正や安全保障などについて建設的な議論が行われるようになるためにも、健全な野党が必要とされている。そして希望の党には、憲法や安全保障についてある意味、自民党の政治家以上の見識をもつ政治家がいることを知っていて期待しただけに、経済政策の余りのひどさに落胆してしまった。

 希望の党の経済政策は何がどう問題なのか。

 それを理解するためにも、アベノミクスについてまず解説しておきたい。

 自民党は「数字で見る安倍政権の成果」というチラシを作成し、この五年間の成果をこうまとめている。

「名目GDPが493兆円から、543兆円へ、約50兆円増」「株価が8,664円から、2万397円へ、二倍以上に」「有効求人倍率が0.83倍から、1.52倍へ」。

 要するに、経済規模が確実に拡大してきたため、会社の業績が上向き、株価が上がり、会社の資産が増えたため、新規雇用を含む設備投資に踏み切る会社が増えた。設備投資を拡大すれば仕事も増え、有効求人倍率も改善し、仕事をしたい人が働くことができるようになっている。

 その恩恵は、全国にも及ぶようになってきており、有効求人倍率は全ての都道府県で初めて一倍を超えた。高卒・大卒就職内定率も過去最高水準となっている。自民党を支持する若者が急増しているのも理由があることなのだ。

 いくら頑張っても就職の内定をとれないと、「ああ、社会は自分を必要としてくれないのだ」と、自分を全否定されたような気分に追い込まれる。その辛さは、高度経済成長時代に就職した50歳以上の人にはなかなか分からないかもしれない。

消費税減税と財政出動が必要

 若者の雇用環境を劇的に改善することができたのは、第二次安倍政権が掲げた新しい経済政策、アベノミクスのおかげだ。

 このアベノミクスは、次の三本の矢で構成されている。

 第一の矢が「大胆な」金融政策。つまり日本銀行と連携して一万円札を大量に刷るということだ。

 第二の矢が「機動的な」財政政策。この十数年、公共事業を敵視し、緊縮財政を続けてきたが、それを止めて、政府主導で財政出動をしようということだ。

 第三の矢が「民間投資を喚起する」成長戦略だ。規制緩和を通じて外国人観光客を呼び込んだり、働き方改革をしようとしている。

 このアベノミクスによって本来なら、もっと経済規模が拡大し、景気は良くなっているはずなのだ。ところが、安倍政権は以下の二つのミスをした。

 一つは、2014年に消費税を8%に引き上げたため、GDPの6割を占める個人消費が一気に落ち込んでしまったことだ。だからこそ3年前の総選挙で安倍政権は「消費税増税の延期」を争点にしたのだ。この総選挙で勝利し、安倍政権は消費税増税を延期したが、減税にまで踏み込まなかったので、その悪影響が続き、現在に至るまで景気は伸び悩んでいる。

 もう一つは、アベノミクス第二の矢「機動的な」財政出動が不十分ということだ。

 安倍政権としては、公共事業などを増やし、景気回復を促進しようとしたのだが、それを妨害してきたのが、菅直人民主党政権の方針であった。菅首相は2010年6月にカナダのトロントで開かれたG20首脳会議において「2015年度にGDP(国内総生産)に対するPB(基礎的財政収支)の赤字額の割合を2010年度比で半減し、さらに2020年度に黒字化する目標」を表明した。この性急な財政再建路線があるため安倍政権は機動的な財政出動ができなかった。

 残念ながらこの二つの課題について、自民党の公約は曖昧だ。

 安倍首相は、景気悪化の場合は増税を延期する場合もあるとしながらも、増収分の使途変更を前提に消費税増税を予定通り実施すると明言している。もともとこの増税も2012年の野田民主党政権のときの三党合意に始まったわけだが、「民主党も解党するのだから三党合意は無効となり、増税も見直す」となぜ明言できないのだろうか。

 また、財政出動を縛ってきた「性急な財政再建路線の見直し」についても安倍首相が会見で述べているだけで公約には明記されていない。

 こうした自民党の「限界」を指摘できる野党が日本には必要なのだ。



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