東日本大震災6年 宮城/「ポスト復興」鍵を握る連携 – 河北新報

社説

東日本大震災6年 宮城/「ポスト復興」鍵を握る連携


 1万を超す事業所が被災し、4万7000人が職を失った。宮城県内のなりわいが、未曽有の喪失を経験した日から間もなく6年。復興需要は縮小を続け、事業所の休廃業は再び増加に転じた。公的資金、金融措置、そして特需で苦境をしのいだ被災企業は今、厳しい競争原理にのみ込まれようとしている。
 冷酷な現実がある。
 帝国データバンクによると、この6年間で休廃業・解散した宮城の事業所数は約2500。このうち2016年は378件で4年ぶりに増加し、倒産数(92件)の4倍に上った。復興特需で利益を確保した企業が、一気に廃業に踏み切るケースも出ている。
 一方、倒産件数は低水準で推移する。企業の体力が回復したとみるのは早計だ。金融機関の返済猶予、利子減免など政策誘導で破綻を免れている企業は少なくない。ごく近い将来、返済は本格化する。
 疲弊した経営者が一段の決断を迫られる場面が増えるのは必至だろう。
 被災企業の経営状況は二極化している。施設・設備復旧費の最大75%の補助を得られるグループ化補助金。宮城では約4000社が活用し、約2500億円が交付された。
 東北経済産業局の昨年10月の調べでは、制度を利用し、売り上げを震災前の水準以上に戻した企業は45%にとどまる。回復要因は復興特需が最多の約3割。業種は建設業が8割を占め、震災で販路を断たれた「水産・食品加工業」は3割に満たなかった。
 被災地がいや応なく競争に巻き込まれているのは人材の確保だ。宮城の有効求人倍率は地域によって2倍を超す。多くの地元企業があおりを受け、人手不足で仕事を受注できなかったり、後継者難で事業を断念したりしている。
 悲観ばかりはしていられない。被災地の企業は地域の暮らし、雇用を支えてきた。事業継続は社会的責任でもある。被災地は人口減で需要が伸びる要素は少ない。利益拡大に執着すれば早晩、行き詰まるだろう。「ポスト復興」をどう描くか。鍵は連携だ。
 被災地では、国内外の企業がCSR(企業の社会的責任)の一環で復興支援を続けている。復興庁は大手企業と被災企業を結ぶ「結(ゆい)の場」事業を展開。宮城では地元企業66社、大手企業など228社が参加し、販路開拓などで一定の成果を挙げている。
 地域に眠る商品、技術、アイデアが外部の目で見いだされることは珍しくない。既存企業の価値を第三者の目で見つめ直す。その機会は幸い、被災地に優位性がある。
 なりわいの復興は地場の企業の安定を抜きには語れない。復興7年目に入る今、歩みの速度を緩め、身の丈に合った事業継承の戦略を描けないか。連携の糸を1本でも多く、長く張り巡らせる経済モデルがあるはずだ。前向きにオール被災地で考えたい。

2017年03月09日木曜日

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