首都圏「億ション」変調、契約率70%割れ – 日本経済新聞

 マンション販売の変調が鮮明になってきた。不動産経済研究所(東京・新宿)が16日発表した7月の首都圏マンション市場動向によると、発売戸数は8カ月連続で減少し、契約率も好不調の目安となる7割を2カ月連続で割り込んだ。高止まりが続いていた販売価格も1戸あたり平均5656万円と前年同月に比べ5%下落。円高や株安で海外の投資家や富裕層が購入していた「億ション」の動きが鈍っている。

マンション販売価格上昇に一服感が出てきた(東京・臨海部)
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マンション販売価格上昇に一服感が出てきた(東京・臨海部)

 7月の首都圏の発売戸数は前年同月比30.7%減の3317戸だった。8カ月連続で前年実績を下回っている。さらに実際に売れた戸数の割合を示す月間契約率も63.3%と2カ月連続で7割を下回った。

 7月の平均販売価格は前年同月と比べると1戸あたり約297万円下落した。販売価格は5月まで12カ月連続で上昇していたが、6月から下落に転じている。建設費の上昇に天井感があることに加え、高額な物件の販売が一巡。株高や円安などに需要が支えられてきた「億ション」は潮目が変わりつつある。

 価格変調の理由の一つは海外の投資家だ。「円高が進み、以前のような爆買いは見られなくなった」。台湾の不動産仲介大手で日本でも事業を手がける信義房屋不動産はこう指摘する。東京五輪の会場となる臨海部は人気がある地域だが、最近は「投資のリターンを得ようと売り出すケースも出てきた」(不動産業界関係者)という。

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 国内の富裕層の購買意欲も鈍っているようだ。タワーマンションは相続税の評価額を低く抑える手法としても人気を集めていたが、この需要も落ち込む見通し。不動産コンサルティングのオラガ総研(東京・港)の牧野知弘社長は「タワーマンション節税への監視が強化されており、今後は購入を手控えるケースも出てくるだろう」とみる。

 昨年は「億ション」で話題を集める大型物件が相次いだ。東京建物がJR山手線目黒駅前(東京・品川)で売り出した661戸のマンションは従来なら「億ションの立地」とは見られなかった場所だったが、平均販売価格は1億円を超えた。不動産経済研究所によると15年の億ションの売り出し戸数は1688戸と2年ぶりに増えていた。

 今後のマンション販売の見通しについて、不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は「昨年のように大型物件で億ションが売りに出される予定はない」と指摘する。

 今後の販売価格には7月の販売在庫が3カ月連続で増えていることも影響を与えそうだ。在庫が増えれば、新規物件の発売スケジュールが遅れるだけでなく、値引き販売に踏み切らざるを得ないケースも出てくる。

 マンション価格が高止まりしていたため、比較的割安な戸建て住宅や中古マンションにも需要が流れているという。住宅ローンを使う消費者にとってマイナス金利の追い風はあるが、販売価格がさらに下がらなければ今秋以降も購買意欲が伸び悩む可能性がある。

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