東芝 米原子力事業子会社 連結から外す方針明らかに – NHK

巨額の損失の原因となったのは、東芝の子会社、ウェスチングハウスが2008年にアメリカ南部で受注した、合わせて4基の原子力発電所の建設工事です。具体的には、ジョージア州のボーグル原発の2基と、サウスカロライナ州のVCサマー原発の2基で、AP1000と呼ばれる最新型の原子炉を建設中です。

東芝によりますと、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、アメリカで厳しくなった原発の安全基準を満たすため、設備や資材の費用が上昇し、これに伴って建設の工期や人件費が膨らんでいったということです。

東芝側には主に3つの誤算がありました。

(1)固定価格契約
州当局などの関係者によりますと、膨らんだ建設コストを発注者の電力会社側とウェスチングハウス側のどちらが負担するかをめぐって交わされた契約が巨額損失の引き金となりました。

これは「固定価格契約」と呼ばれるもので、一定の額を超えた追加のコスト負担を電力会社に求めずにウェスチングハウス側が原則、負担するという内容です。州政府は原子力発電所の建設費用の一部を電気料金に転嫁する制度を定めており、電力会社側としては追加負担を抑えたいという意向がありました。

関係者によりますと、ジョージア州の原発では、従来から固定価格契約となっていてウェスチングハウス側が5億ドルを超えた分の追加コストを負担することになっていました。

一方、サウスカロライナ州の原発では、当初は追加コストを電力会社側が負担する内容だったものの、2015年に固定価格契約に変更し、ウェスチングハウス側が負担することになったということです。

ボーグル原発の建設を発注したジョージア電力は、「固定価格契約は電気の利用者を守り続けるものだ。東芝とウェスチングハウスには契約に基づく内容の履行を徹底的に求めていく」とコメントしています。

(2)建設ノウハウの欠如
アメリカでは長年にわたって新規の原発が建設されなかったことを背景に、原発の建設ノウハウが乏しく熟練の建設作業員が確保できなかったことも工期の延長につながり、コストがかさむ理由となったと専門家は指摘しています。

アメリカでは1979年に起きたスリーマイル島の原発事故のあと新規の建設はなく、高度な技術を持った作業員の数が限られ、工期の延長につながったということです。

ボーグル原発の2基は、当初は2016年と2017年の運転開始を予定していましたが、現時点では、2019年12月と2020年9月にそれぞれ延期されています。

VCサマー原発の2基は、当初は2016年と2019年の運転開始を予定していましたが、現時点では、2020年4月と2020年12月にそれぞれ延期することが明らかになっています。

東芝によりますと、4基の建設事業のコストは、当初の計画から人件費が37億ドル、資材の調達などで18億ドル拡大するなどして、全体で61億ドル増えているということです。

(3)品質問題
ウェスチングハウスの最新型の原子炉AP1000は、別の場所にある工場である程度まで製造したものを、建設現場に運んで組み立てていくという、「モジュール工法」と呼ばれる工法で建設するのが大きな特徴です。

ウェスチングハウスと東芝は、当初、この工法によって工期の短縮が可能で、コストも抑えることができると考えていました。しかし、結果として工期は延びる形となりました。

原発の建設事業は、資材の調達や技術力の高い作業員の確保、それに建設のスケジュールなどの工程の管理などさまざまな分野で高い水準が要求され、今回の東芝とウェスチングハウスの巨額損失は、原発ビジネスの難しさを浮き彫りにしています。

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