公共工事積み増し-施工余力に問題なし/建設業界、人手不足懸念に反論 [2016年8月29日1面] – 日刊建設工業新聞社 (会員登録)

公共工事積み増し-施工余力に問題なし/建設業界、人手不足懸念に反論 ?[2016年8月29日1面]

 ◇手持ち増えても不調率低下/労務単価引き上げなど奏功
 公共工事が増加しても、施工余力に問題はない-。経済対策による公共工事の積み増しに、人手不足の建設業界が対応できないのではないかとの疑問が出ていることに、業界が反論している。国土交通省のデータでは、手持ち工事量は増加しているが、入札不調の発生率は低下。設計労務単価の見直しなどが奏功し、東日本大震災後に問題化した現場の人手不足も大幅に改善している。補正予算による公共工事の積み増しには地域の景気を押し上げる効果が期待できそうだ。
 国交省の建設総合統計で手持ち工事高の推移を月別に見ると、例年ピークとなるのは、発注件数が最も多いとされる9月からおおむね1カ月後の10月。さらにその2~3カ月後に入札不調が最も多い時期を迎えるのが一つのパターンとなっている。
 近年の手持ち工事のピーク額は、12年度が12兆7478億円(10月)、13年度が14兆8074億円(同)、14年度が17兆6199億円(同)、15年度が16兆8809億円(9月)と推移。この間、各年度のピーク額を前年度と比較すると14年度が最も伸び、19%増えた。
 一方、同省が調べた入札不調の発生率は、都道府県発注工事で12年度は4・9%だったのが、東日本大震災の復興事業で工事量が急増した影響もあって13年度に7・6%まで上昇。こうした状況を背景に同省は設計労務単価を13年4月以降、4回にわたって大幅に引き上げたほか、14年2月には円滑な施工確保対策としてさまざまな不調・不落対策を講じた。その効果で、手持ち工事のピークが上昇しても不調発生率は14年度には6・8%まで低下。15年度はさらに4・7%にまで下がった。国交省直轄工事でも12年度に11・2%だったのが、13年度には17・4%まで上がったが、その後は14年度に11・4%、15年度は7・3%へと下がっている。
 現場で働く技能労働者の過不足状況を示す同省の建設労働需給調査では、不足が指摘された13、14年度の状況と比べて改善傾向にあり、震災前の状況に戻ってきている。むしろ、同省によると「一部の地域、職種では余剰傾向」(建設市場整備課)にあるのが実態だ。
 24日に政府が決定した16年度第2次補正予算案では、国交省だけでも災害復旧を含めて1兆円の公共事業費が積み増しされたが、「当面の施工余力に問題はない」(日本建設業連合会)としている業界の声をこれらのデータが裏付けている形といえる。
 公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)の保証統計から、4~6月に保証を扱った工事などの請負金額を都道府県別に見ると、国が発注した工事などの請負金額が前年同期を上回ったのは29府県にとどまり、18都府県が下回った。このうち13都府県は減少率が2桁になっている。上回った府県でも災害復旧や大型工事が増加要因になっている地域が少なくない。
 工事量の地域間格差が広がり、多くの地方の業界から、工事が減少していると危惧する声が上がっている。全国建設業協会の幹部は、「多くの地域建設会社が手持ち工事の減少から窮状を訴えている」と指摘。施工余力を懸念する見方に真っ向から反論している。

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