【4月からこう変わる】行政・団体で働き方の抜本的改善 企業はポスト五輪へ備え – 日刊建設通信新聞 (会員登録)

行政・団体

■保険未加入対策 “総仕上げ”
 4月からスタートする国土交通省直轄工事における2次以下を含めた未加入企業への排除と並んで、注目を集めるのが、社会保険等への未加入作業員の取り扱いだ。
 国交省は、昨年7月に社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを改定。適切な保険に加入していない作業員であっても特例的に現場への入場を認める「特段の理由」の解釈を明らかにした。
 解釈として示すのは、60歳以上で、厚生年金保険に未加入の場合(雇用保険に未加入の場合はこれに該当しない)や、伝統建築の修繕など当該作業員が工事の施工に必要な特殊の技能を有している場合、当該作業員が加入手続き中であるなど今後、確実に加入が見込まれる場合など。
 この特殊なケースに限定して、現場への入場を認めることになるが、あくまでも特例的な対応であることを明記。原則として4月以降、未加入の作業員が現場に入場することを認めない。

■積算数量書活用、本格的に実施
 4月から国交省直轄工事(随意契約を除く営繕工事)を対象に試行してきた「入札時積算数量書活用方式」の本格実施に乗り出す。
 これまで入札参加予定者に参考資料として公開・提供してきた「積算数量書」を契約事項に組み込む同方式は、契約変更など契約後に生じる受発注者間の協議の円滑化に役立つ。発注者が示す、この積算数量書に重み付けが行われることから、それに疑義が生じた場合、受注者がその確認を請求することができるようになるからだ。
 受注者からの確認請求と、その結果として訂正が必要な際の受発注者間での協議や契約変更(請負代金額の変更)を契約書に明記。積算数量書を契約事項に格上げすることで、数量書の作成やそれに基づく変更協議に対する発注者の責務を明確化する。
 4月から国が率先して本格実施に移行させることで、地方自治体へのさらなる普及・拡大が期待されることになりそうだ。

■帰還困難区域、復興拠点除染
 東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質を取り除くために、環境省が直轄で進めてきた福島県内11市町村の除染特別地域内での除染が3月末で完了し、17年度からは、福島再生のステージが帰還困難区域の復興拠点における除染とインフラ整備に移る。また、除染で出た除去土壌を県内の仮置き場などから中間貯蔵施設に運び込む輸送量も、16年度の3倍以上になる。

■WLB認定企業、認定基準厳しく
 厚生労働省は4月1日からワーク・ライフ・バランス(WLB、仕事と家庭の調和)に関する法定認定制度における企業の認定基準を厳しくする。認定基準項目に社員の労働時間数を新設するほか、認定取り消しなどの基準も厳しくする。
 認定基準を見直すのは、国の公共調達の総合評価落札方式などで加点評価する、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」、次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん」と「プラチナくるみん」、若者雇用促進法に基づく「ユースエール」。具体的には「くるみん」の認定基準項目に「月平均の法定時間外労働60時間以上の社員ゼロ」の項目を設ける。「くるみん」「プラチナくるみん」「えるぼし」は、労働基準法等違反は書類送検を不認定や認定取消対象としていたが、今後は適用範囲を拡大し、「ユースエール」と同様、是正勧告を受けて是正していない場合も不認定や認定取消対象とする。

■日建連新体制、働き方改革加速

 業界団体では、日本建設業連合会(中村満義会長)の新体制が4月から始動する。新会長には山内隆司副会長・建築本部長(大成建設代表取締役会長)が就任。また、「週休二日推進本部」(本部長・井上和幸清水建設社長)も新設し、建設業の働き方改革の実現に向けた本格的な検討に着手する。
 新会長が内定した2月の理事会後に会見した山内副会長は、建設業の働き方改革と海外へのインフラ輸出推進、2020年東京五輪・パラリンピックへの対応の3点を次期活動の柱として提示した。
 政府が推進する働き方改革や建設業の生産性向上に的確に対応するため、週休2日の定着を始め、i-Construction(アイ・コンストラクション)、建設キャリアアップシステムの構築支援などを推進する。
 井上本部長は27日の理事会後会見で、「魅力ある産業へと成長していくためには避けては通れない。どうしても実現しなければならない課題だ。まずは土日閉所できる体制を目指していきたい」と述べ、週休2日の実現に向けて全力を挙げる考えを示した。
 建設業での働き方改革推進に向けては、全国建設業協会(近藤晴貞会長)も17年度の事業計画に、地域建設業が目指すべき働き方の方向性を明らかにする「働き方改革行動憲章」(仮称)の策定を盛り込んでいる。17年度は建設業界全体で、働き方改革への取り組みが一層加速する大きな転換点になりそうだ。

企業 新社長・新計画・新会社相次ぐ

 東京五輪の開催まで、あと3年に迫る2017年度があすから始まる。首都圏を中心に大型プロジェクトの建設工事が本格化するなど、国内マーケットの需要増に建設産業界の企業各社はどう対応するか。追い風の吹く今を、“ポスト五輪”を見据えた成長への準備期間に定める企業も少なくない。4月1日からのトップ交代は例年にも増して多く、新たな経営計画に移行する企業も目立つ。 17年度から中期経営計画をスタートさせる大手・準大手ゼネコンは10社ほどに達し、全体の約3割を占める。足元は国内マーケットの好転に加え、悩ましかった資材や労務の価格が安定したことで、各社の工事採算は大幅に改善されており、新計画では利益重視を推し進め、盤石な体制でポスト五輪を迎えようとする流れが強まりそうだ。
 3月30日時点では、1年前倒しで5カ年計画を打ち出した大林組、社長交代に合わせた飛島建設、全6カ年計画の後半3カ年を示した長谷工コーポレーションが発表済み。今期の決算開示までには既に1年前倒しを表明している戸田建設を始め、五洋建設、東洋建設、日本国土開発、大豊建設、青木あすなろ建設などが発表する見通し。
 設備工事業では4カ年に設定したきんでんを始め、3カ年をスタートさせる高砂熱学工業、新日本空調や朝日工業社なども公表済み。各社が五輪後を見据え利益重視の成長戦略を描く。
 建設コンサルタントではE・Jホールディングス、道路舗装は大林道路、エンジニアリング会社は千代田化工建設が新計画の発表を予定。関連メーカーでは4カ年を打ち出したYKKAPと荏原製作所、ユアサ商事が発表済み。積水化学工業、不二サッシ、サンゲツ、日立建機、住友建機、住友大阪セメントなども5月までには発表する見通しだ。
 新会社発足の動きも目立っている。脱請負戦略を打ち出す前田建設は東急電鉄と共同でインフラ運営事業の合弁会社「グローバル・インフラ・マネジメント」を設立するほか、三井住友建設は需要が高まるPCa部材供給を担う子会社2社を合併させる。
 長谷工コーポレーションでは管理事業の体制整備を目的にグループ会社を統括する新会社2社を設立し、鹿島が施工段階のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用を強化するため専門会社を設立する動きもある。三菱ケミカルホールディングスは化学系連結子会社の三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンを合併させる。
 社長交代も各分野で目立っており、東京五輪までの好機を足掛かりに、新体制をスタートさせる狙いが見え隠れする。4月1日にはゼネコン関連で高松コンストラクショングループの吉武宣彦氏、大豊建設の大隅健一氏、日特建設の永井典久氏、大鉄工業の荻野浩平氏、ショーボンド建設の岸本達也氏、オリエンタル白石の大野達也氏(6月にOSJBホールディングスの社長)、千代田化工建設の山東理二氏、JFEエンジニアリングの大下元氏、IHIインフラシステムの川上剛司氏、ガイアートの山本健司氏、日本道路の久松博三氏、東亜グラウト工業の山口乃理夫氏が就任する。
 設備工事業では大気社の芝利昭氏、沖ウィンテックの畠山俊也氏、オーク設備工業の佐藤公義氏、大成設備の児玉雅宏氏、クリマテックの西田文明氏。メーカー関連は三和ホールディングスの高山靖司氏、三和シヤッター工業の高山盟司氏、不二サッシの吉田勉氏、日立建機の平野耕太郎氏、日鉄住金P&Eの元内利文氏、SMCプレコンクリートの多田耕二氏、三菱マテリアルテクノの安在宏明氏。設計事務所などでは石本建築事務所の長尾昌高氏、三菱地所設計の林総一郎氏、メック・デザイン・インターナショナルの渡邉顕彦氏、明豊ファシリティワークスの大貫美氏が、ディベロッパーでは三菱地所の吉田淳一氏、東急不動産の大隈郁仁氏、大成有楽不動産の浜中裕之氏、西武プロパティーズの上野彰久氏、三菱地所レジデンスの脇英美氏が就任。
 また、4月25日には丹青社の高橋貴志氏、6月に入ってからは飛島建設の乘京正弘氏、大林道路の福本勝司氏が就任する。

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