街の文具店 県内の事業者・販売額、20年で3分の1 – 信濃毎日新聞

 文具を専業で取り扱う街の文具店が姿を消している。経済産業省の商業統計によると2014年までの20年で、県内の事業者数、販売額はともに、およそ3分の1に減少した。大型量販店やコンビニの増加、オフィス向け用品通販サイトの普及による競争激化が背景にあるとみられ、生き残りを懸けて品ぞろえを工夫する店も出てきた。 長野市中央通りにある文具店「クレス」(西後町)。1949年に「柳沢文房具店」として開店し、97年に現在の店名でリニューアルした老舗だ。経営する柳沢幸一さん(66)は昨年12月、今春で店舗営業を終えることを決めた。

 長野商工会議所によると、中央通りには十数年前まで文具店が5店あったが、3店が相次いで閉店。クレスの閉店で1店を残すのみとなる。「文具店がどんどんなくなっていくのは寂しい」。クレスで趣味の折り紙などをよく買っていた山口有子さん(67)=長野市桜枝町=は閉店を惜しむ。

 「本当は続けたかったが、そろばんをはじくとね…」と柳沢さん。近年は店単独の売り上げが赤字になることも少なくなかった。今後は企業向けのOA機器や事務用品などの営業販売に注力するという。

 経済産業省の商業統計によると、全国の文具小売業(売り上げのうち文具の割合が最も多い業者)の事業者数は1994年の2万3750から2014年は7254と69%減。販売額は9765億円から3506億円と64%減った。県内では事業者数が94年の375から14年は123、販売額は129億円から43億円に激減した。

 一方、矢野経済研究所(東京)によると、国内メーカーの文具・事務用品の出荷額は12年度の4556億円から15年度は4598億円と微増傾向。大人向けの塗り絵ブームで多色セット色鉛筆の需要が拡大し、万年筆が女性や若年層、訪日外国人に売れていることなどから、市場全体が底上げされているという。

 全日本文具協会は「文具の市場規模は大きく変わっていない」と指摘。コンビニやドラッグストア、量販店、通販など販売ルートが多様化し、「専業の小売業は厳しい」とする。

 こうした中、松本市笹賀の「文具のひろばあすなろ」は15年から、一般文具に加えて他の量販店で扱いが少ないアニメなどのキャラクター文具を充実させた。「同じ商品を並べていたのでは大手や通販には勝てない」と桜山誠一社長(60)。子どもも手に取りやすい低価格の品をそろえたことで家族連れの客が増え、1割ほど落ち込んでいた売り上げが持ち直したという。

 長野商工会議所中小企業相談所(長野市)は「小中規模店舗の置かれた環境は厳しい。単に売るのではなく、商品ができるまでの物語や新しいライフスタイルの提案など付加価値がある商品を展開していく必要がある」と指摘している。

(2月20日)

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