変化する日本の小売市場構造 『経営コンサルタントの視点』第24回 – ニュース屋台村




中野靖識(なかの・やすし)

株式会社船井総合研究所上席コンサルタント。メーカーから小売業まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。一般消費者向けの商材を扱う企業の現場レベルでの具体的な販売手法の提案を得意とする。

日本国内の小売業全般では、梅雨入り前の暑さの影響もあって、春商戦はある程度の結果を残すことができた法人が多く見られました。経済産業省の商業動態統計確報でも、卸・小売りとも前年同月比を上回る傾向が表れています。

中野グラフ①

全体が回復傾向にあるとはいえ、小売業界のウェートバランスは変化しつつあり、百貨店を筆頭とする伝統的な小売業の低迷とコンビニエンスストア、ネット通販の拡大傾向が引き続き顕著になりつつあります。

経済産業省商務情報政策局情報経済課から今年4月に発表された「平成28年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、「2016年のBtoC-EC市場規模は、15兆1358億円(前年比9.9%増)、EC化率は、5.43%(対前年比0.68ポイント増)」になっているそうです。「BtoC-EC」とは、インターネット上で行われる電子商取引(E-Commerce=イーコマース)事業の中で、企業と消費者間の取引「BtoC」(Business to Consumer)をいいます。

オフライン小売業に携わっている方から見れば、所属業界市場全体の成長が鈍化していく中、ネット通販業界から浸食されている感覚は大きいでしょう。
市場規模15兆1358億円は、2016年の小売業販売額139兆8770億円(経済産業省商業動態統計による)の10.8%を占め、周辺業界に影響を及ぼすシェアになっています。

中野グラフ②

特に物販系分野に関しては、15年対16年比では10.6%の成長(下表参照)をしており、消費者の感覚が変化していることがうかがえます。

中野さん図版③

右肩上がりで成長する日本国内の電子商取引では、上がった売上分だけモノを運ぶことが前提になるため、事業を支える物流の中でも顧客に納品する個別配送が増加していることは周知の事実ですね。

◆時流適応力が問われている

このような状況の中、今年4月にニュースリリースされた、ヤマト運輸がインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムの当日配送サービスの受託から撤退するという話は記憶に新しいと思います。

個別配達は深夜配達、再配達等、効率が悪い部分も多く、ドライバーに負担をかけることから、荷物をぞんざいに扱うといったトラブルも発生しています。

宅配業界最大手とはいえ、最近の求人難や労働基準法順守の動きを視野に入れると、この部分にメスを入れるしかなかったのでしょう。

昨今の働き方改革に伴い、人材採用難は色々な業界に広がっており、企業としての戦略変更を余儀なくされるケースも出てくることでしょう。

小売関連業界を含め、内需で収益を獲得している多くの業界の時流適応力が問われている気がしてなりません。

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