“海なし県”埼玉発 野菜すし登場 魚介使わず県産で勝負 レシピ公開・普及 菜食主義者訪日客に的 – 日本農業新聞

野菜すしを考案した関根さん(さいたま市北区で)

県鮨商生活衛生同業組合が作って加盟店に配布した野菜すしのメニューやレシピ

 埼玉県のすし店30店舗が、魚介類を一切使わず県産農産物だけで作る「野菜すし」の提供を始め、注目を集めている。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)や20年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、急増する訪日外国人客やベジタリアン、健康志向の人向けに、県内のすし店でつくる県鮨(すし)商生活衛生同業組合が3年かけて考案。県内のすし職人向けにレシピ本を作成、5月から提供を始めた。将来的には店舗数を増やし、江戸前ならぬ“埼玉前”の普及を目指す。
 

県鮨商組合が考案

 赤や黄色のパプリカを使い、上に甘めのしょうゆだれを付けた握りずしや、刻んだトマトを酢飯の上に載せ、バルサミコ酢を掛け、のりの代わりにズッキーニで周囲を巻いた軍艦巻き――。野菜だけを使った「野菜すし」は40種類に上る。
 

滑り出し好調

 同組合の理事長を務める関根利明さん(60)が組合のメンバーと開発した。関根さんが経営するさいたま市北区のすし店「山水」でも5月から提供を始めたところ、1カ月足らずで200人が注文した。同店には、問い合わせの電話が相次ぐ。

 関根さんによると、生魚を食べられない人は焼き魚や卵焼きなどを探すことが多かったが、「野菜すしなら食べられると言ってくれる」と来店者の反応の良さに喜ぶ。

 こだわった点は「野菜本来の味やシャキシャキとした食感をどう残すか」。さっとゆでたり、レモン汁であえるなど作業工程を工夫した。ソースにもバジルなど農産物を利用。酢飯やしょうゆだれは、「野菜によく合う」と関根さんは話す。

 

有数の生産地

 関根さんは3年前から、海のない同県のすし店として「海産物ばかりのすしは面白くない」と、メニュー作りを模索し始めた。同県は野菜の産出額で全国7位(15年)という野菜の一大生産地であることを知り、「野菜すし」のアイデアを温めてきた。

 特に19年のラグビーW杯、20年の東京五輪を意識し、「外国人観光客や生魚が苦手なベジタリアン、健康志向の人に食べてもらえるすし」(関根さん)を考え、メニューの改良を重ねてきた。

 組合は、県内120の加盟店にレシピ本や、季節ごとの野菜を使ったメニュー表などを送った。今後は県内各地で開催する職人向けの研修会などで、レシピ本を使った「野菜すし」の作り方などを実演するなど、普及を進めていく。

 関根さんは「将来的には県内80のすし店で提供してもらえるようにしたい。また、職人のアイデアで新たな野菜を使うメニューも充実させ、埼玉発の野菜すしを発展させたい」と展望する。

 全国すし商生活衛生同業組合連合会の若竹敦史事務局長によると、地元で取れた海産物を使ったり地域の漬物を利用したりと、地場産にこだわったすしはこれまでも存在したが、全てが県産野菜というのは「初めて」という。「県産食材で地元を盛り上げようという埼玉の組合の姿勢は素晴らしい。ぜひ応援したい」と強調する。(中村元則)

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