景気 先行きに不透明感 日銀短観、円高への懸念強く – 日本経済新聞

 日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、景気の先行きに不透明感が漂う結果となった。英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、円相場は大企業製造業の想定為替レートを上回る水準で推移している。円高が企業心理や設備投資に影響を与える懸念が強い。非製造業も内需低迷で厳しい状況が続く。

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 今回の短観調査期間は5月30日~6月30日。日銀が回答基準日に定めた6月13日に7割強の企業が回答し、英EU離脱が決まった同月24日には既にほぼ集まっていた。

 大企業製造業の2016年度の想定為替レートは1ドル=111円41銭だった。これに対し、実際の円相場は回答を集め始めた5月30日の111円台から6月24日には一時99円まで上昇し、現在は103円前後で推移する。日銀幹部は「英のEU離脱問題は今回の調査結果にほとんど反映されていない。円高による先行きへの懸念が強く、不確実性が高まっている」と指摘する。

 円高進行は企業収益の悪化を招く恐れがある。輸出を手がける大企業製造業の売上高は16年度に前年度比1.6%減を見込むが、円高によって一段と減少しかねない。株安も進んでおり「企業の経営戦略にネガティブに働くかもしれない」(同幹部)との声もある。企業収益はこれまで過去最高を更新してきたが、直近は頭打ち感が出ている。

 16年度の設備投資計画は、大企業製造業の前年度比12.8%増に対し、大企業非製造業は2.7%増にとどまる。非製造業は大型投資が一巡したほか、地価上昇から土地取得を断念する動きが一部あるという。大企業非製造業の業況判断DIは先行き2ポイントの悪化を見込む。個人消費や賃上げの動きが鈍く、非製造業の回復力はなお弱い。

 日銀がマイナス金利を導入して4カ月。金融機関の貸出態度判断DIは、大企業でプラス29と1997年6月以来の緩和水準となった。金利低下で資金繰りや借り入れも楽になっているが、日銀が説明する実体経済や設備投資への波及効果はいまひとつ明確に見えない。日銀は「所得から支出への前向きの循環メカニズムが続いている」(黒田東彦総裁)との立場を維持しているが、円高や株安が夏場以降の景気の重しになる可能性がある。

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