12月の日銀短観で景況感改善 「トランプ効果」当分は半信半疑 – 東京新聞

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 日銀が十四日発表した十二月の企業短期経済観測調査(短観)は、経営者の先行きへの警戒感を映し出した。トランプ次期米大統領の掲げる政策が今の景気実感を好転させる一方、期待ばかりが先行して実際に何が起きるかは見えないためだ。経営者としては目先の好材料に左右されるわけにはいかず、当分の間は半信半疑で「トランプ効果」と向き合うことになりそうだ。
 短観で、企業が今の景気をどうみているかを示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業が前回九月調査から四ポイント改善のプラス一〇と一年半ぶりに好転した。一方で三カ月後の先行きは二ポイントの悪化を見込んだ。中小企業製造業も現状は四ポイント改善したが、先行きは五ポイントの悪化と慎重な姿勢は同じ傾向だった。
 「トランプで円安になったから、営業をかけたが…」。金属部品の加工を手掛ける中小企業、神代(かみしろ)工業(東京都大田区)の皆方一義社長(57)は浮かぬ顔だ。取引先が円安で業績改善すれば受注が増えると見込んだが、「取引先も先行きに慎重でシビア。新たな仕事は決まらず当てが外れた」と厳しさを明かした。
 現状では、大型減税や公共事業増など景気を押し上げようとするトランプ氏の政策が世界経済に波及するとの期待が高まる。十四日に利上げの決定が見込まれる米国で金利が上昇する一方、日本では日銀が金利を抑え込む政策を続け、日米の金利差の拡大から円安ドル高が進行。輸出企業の景況感好転につながる。
 だが、トランプ氏の政策が具体化するのはこれからだ。同氏は米国内の産業保護を主張、円安を許容しなくなる懸念もある。
 短観では非製造業のDIで大企業は横ばい、中小企業は一ポイント改善した一方、先行きはいずれも悪化だった。設備投資も「全般に弱い」(国内証券)状況で慎重姿勢は根強い。
 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「先行きに対する経営者の警戒感が予想以上に強かった。為替も容易に円高に反転する可能性があり、当面は前向きな投資に自信を持てる状況ではない」と指摘している。

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