本日公表の法人企業統計調査は企業部門の良好な業績を確認! でも家計部門は? – BLOGOS

本日、財務省から10-12月期の法人企業統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で、売上高は5四半期振りの増収を示し、経常利益は2四半期連続の増益で、しかも、四半期ベースで過去最高を記録しています。すなわち、売上高は前年同期比+2.0%増の338兆3486億円、経常利益も+16.9%増の20兆7579億円でした。また、設備投資は前年同期比+3.8%増の10兆9350億円と、2四半期振りのプラスに転じています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

法人企業統計、設備投資3.8%増 10-12月期 経常利益は最高
財務省が1日発表した2016年10-12月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比3.8%増の10兆9350億円だった。プラスは2四半期ぶり。製造業と非製造業ともに増加した。経常利益は16.9%増の20兆7579億円となり、四半期ベースで過去最高を記録した。
設備投資を産業別にみると、製造業が7.4%増と2四半期ぶりに伸びた。化学や輸送用機械で生産能力の増強などを目的とした投資が増えた。非製造業は1.9%増と3四半期ぶりのプラス。情報通信業で通信設備装置の高速化に対応する投資が増えた。不動産業で商業施設やオフィスビルなども伸びた。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で3.5%増加した。製造業が7.4%増加し、非製造業は1.3%増だった。
経常利益は前年同期比16.9%増の20兆7579億円。増益は2四半期連続。製造業が25.4%増と6四半期ぶりに増加。情報通信機械が不採算事業の売却で利益率が改善。化学では医薬品の販売好調が寄与した。非製造業は12.5%増と2四半期連続でプラス。持ち株会社の子会社からの配当金が増えた。
全産業の売上高は2.0%増の338兆3486億円だった。5四半期ぶりに増収となった。非製造業は2.8%増と5四半期ぶりにプラス。飲食・宿泊業で売り上げが伸びた。資源価格上昇で卸売業も増収となった。製造業は0.1%減と6四半期連続でマイナス。円高で情報通信機械などの売り上げが減少した。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計。今回の16年10-12月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。

やや長いものの、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

法人企業統計を見る限り、2015年最終四半期ころから円高に従って企業部門の経済活動には陰りが見え始めたんですが、昨年2016年年央ころに企業活動が底を打ち、2016年10-12月期には企業業績がかなり上向いていることが確認されたと、私は受け止めています。上のグラフの上のパネルにも見える通り、また、引用した記事にもある通り、四半期ベースでは経常利益は過去最高を記録しています。また、グラフの下のパネルでは設備投資が増加の兆しを見せていますが、この法人企業統計の信頼性を考え合わせると、もう少し別の指標を見たり、あるいは、この法人企業統計ももう少し長めに見たい気もします。しかしながら、2014年の消費増税から消費が低迷を続けている現状にあって、指標としては消費に代表される家計部門の停滞と企業部門の業績を突き合わせて見ると、やはり、所得面では企業部門から家計部門へのなんらかの移転が必要としか考えられません。現状の人手不足を考えると、さらに雇用者を増加させるというよりは、基本的には賃上げなが必要んでしょうが、何ともバランスの悪い経済になっている気がします。その上で、現状の財政赤字を考えると財政調整が必要とはいえ、法人税を減税しながら消費税を増税する方向を志向するのは、私の目には疑問が大きいとしか映りません。何らかの所得政策、特に格差を是正し貧困層を底上げするような所得政策、ベーシック・インカムなどの議論を開始すべき時期に差しかかっている気がします。

続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけはグングンと積み上がりを見せています。労働分配率と設備投資の対キャッシュフロー比率も、いずれも、やや上昇する兆しを見せたんですが、元に戻ってしまったような気がします。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。

本日公表された法人企業統計などを盛り込んで、昨年2016年10-12月期のGDP統計2次QEが来週3月8日に内閣府から公表される予定となっています。設備投資が上方修正され、成長率もわずかながら上方修正されるんではないかと私は予想していますが、改定幅は小さいと思われます。また、日を改めて2次QE予想として取りまとめたいと思います。

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