学費準備はなるべく早く 高大最後の7年で1000万円 – 日本経済新聞

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 今月のマネーハックは、「子育てとお金」について考えています。今週は学費の備え方についてです。

 子どもにかかる費用は、とにかくいろいろありますが、やはり金額として大きいのは高校と大学の7年間の学費です(小学校から私立に進学する場合は中学校を含めて16年にも及ぶ)。

 1月30日、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」の最新版が公開されましたが、高校から大学までの7年間に必要とする教育費は子ども1人当たり975.0万円となっています。

 在学費用は、高校が平均年74.7万円、大学が平均152.4万円、入学時の費用は高校が平均43.3万円、大学が平均98.0万円となっています。入学初年度は負担も大きくなる仕組みです。

■苦労するのは高校・大学の「ラスト7年」

 この7年間で約1000万円にもなるお金は、子育ての期間に平均してかかるのではなく、最後に集中するのが大きな特徴です。乳幼児や小学校のころもやりくりに苦労しながら子育てしていきますが、本当にお金の問題で苦労するのは「ラスト7年」のことなのです。

 よくある学費対策は、子どもが高校に入学して学費負担が増大したので妻がパートにでる(復職する)というものですが、これはラスト7年にあわてて稼ぐいわば後手に回った対策です。

 子どもの学費負担については、「最後の7年間だけで負担するのではなく、子どもが生まれてから大学を卒業するまでの22年間で負担する意識を持つ」ことが重要です。1000万円を7年間の年収から平均して賄えば年143万円ですが、22年間で備えれば負担は年45万円まで下がります。

 つまり(月2万円+ボーナス10万円)を子どもが生まれたときから頑張ってためることができれば、「ラスト7年」にパニックにならずに済むわけです。

 そのためには、「お母さんは出産を機になるべく離職せず、育休後は正社員としてまた働く」「辞めてもできるだけ早く再就職して復職する」ことにより、しっかりためておくことがポイントになります。

■児童手当の貯金で入学金準備をクリア

 子どもが生まれると、児童手当の書類に記入して提出しますが、これは国から世帯に一律に支給されるものです(世帯年収が高い場合は減額される場合もある)。

 0歳からは月1万5000円、3歳を超えると月1万円(第3子以降は小学卒業まで月1万5000円)を中学卒業まで受け取ることができます。これはもちろん、子育ての費用に用いるものですが、家計のやりくりの中で、「児童手当は子ども名義の預金通帳に入金」というルールを決めておいてはいかがでしょうか。これにより、学費準備の20%くらいがクリアできます。つまり、

 0歳から3歳まで(36カ月)月1万5000円で合計54万円

 3歳から15歳まで(144カ月)月1万円で合計144万円です。

 実際には誕生月によりもらえる月数は異なりますが、これで高校と大学の入学金相当はカバーできるわけです。

 児童手当は子どもの人数分支給されますから、それぞれ子ども名義の銀行口座を作って入金しておくといいでしょう。心理的にも、子ども名義の口座から生活費に流用することをガマンする効果が期待できます。

■子ども2人以上なら準備がより大切

 学費問題の最大の悩みは子どもが2人あるいは3人以上いる場合です。食費や服代もかさみますが、こうした負担は正比例して増えはしません(下の子に上の子のお下がりを着せたり、まとめ買いをしたりすることで節約できる)。保育園の通園料なども子どもが2人以上だと少し割安になったりします。

 しかし、高校や大学の学費は原則割引がありません。つまり、子1人の世帯と子2人の世帯を比べれば学費にかかる予算が単純に2倍になります。先ほどの「月2万円+ボーナス10万円」も子1人ならなんとかできても、子2人、あるいは子3人となってくると実行は難しくなってきます。

 それでも、少しでもいいので準備は続けていってください。たとえば、「長男の大学入学年度と長女の高校入学年度が同じ」というケースでは、初年は370万円も学費に飛んでいくことになり、準備なしにはやりくり不可能な金額になってしまいます。長男が大学を卒業するまでは長女とダブルで学費が発生し、家計を大きく圧迫することになります。

 子どもが2人以上いる場合、学費準備についてより意識し、小さいころからお金をためていくことが大切です。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはITスキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。

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p class=”cmn-quote1″>山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。所属は日本年金学会、東京スリバチ学会。近著に『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』(明日香出版社)『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)などがある。趣味はマンガ読みとまちあるき(看板建築マニアでもある)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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