台湾経済にiPhone効果 17年、2.58%成長に上振れ – 日本経済新聞



 【台北=伊原健作】台湾の行政院(内閣)主計総処(総務省統計局に相当)は24日、2017年の実質域内総生産(GDP)が前年比2.58%増になる見通しを発表した。8月時点の予想(2.11%増)から0.47ポイント引き上げた。米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」向けの部品輸出が好調。景気回復を支えに、低迷する蔡英文政権の支持率は最悪期を脱しつつある。

 17年の輸出の見通しは6.63%増と、8月の予想から2.61ポイント上方修正した。iPhone向けの半導体やケース、光学レンズなどの部品の輸出が想定以上に伸びている。また米中や新興国で工場の自動化需要が膨らみ、機械の輸出も好調だ。

 民間消費の見通しも、2.14%増と0.25ポイント引き上げた。iPhoneの頭脳となる半導体を独占供給する台湾積体電路製造(TSMC)など、関連企業の株価が軒並み上昇。代表的な株価指数、加権指数は27年ぶりの高水準にあり「消費に好影響を及ぼしている」(主計総処)という。

 台湾の成長率は15年に0.81%と、6年ぶりに1%を割り込んだ。主要な輸出先である中国の景気減速が響いた。翌16年に発足した民主進歩党(民進党)の蔡政権は、台湾は既に独立した状態にあるとの主張を掲げ、統一を目指す中国との関係が停滞している。悪影響が経済に及ぶとの懸念もあったが、景気は回復傾向を持続。iPhone効果で批判を抑え込めている側面がある。

 民放のTVBSが11月に実施した世論調査では、蔡総統の支持率は28%。中国の圧力でパナマとの断交を余儀なくされた6月は21%まで落ち込んだが、やや復調している。9月に人気が高い頼清徳・行政院長(首相)による新内閣が発足したことに加え、景気回復も追い風になっている。

 ただ、蔡政権にとって重要なのは18年末に行われる統一地方選前の景気だ。大手シンクタンク、台湾経済研究院の予測では、18年の成長率は2.3%と17年から減速する見込み。「18年後半は主力の輸出の伸びが見込みにくい」(孫明徳主任)のが理由だ。

 iPhoneは人気が集中する最上位モデル「X(テン)」の量産が遅れ気味。需要に追いつくため18年前半までは高水準の販売が続くとみられ、秋に発売が見込まれる次期モデルの販売は厳しくなるとの見方が多い。このあおりで選挙直前に景気が減速すれば蔡政権に逆風となり、最大野党・国民党に巻き返す隙を与えかねない。

 頼内閣は9月、18年1月から軍人や公務員らの給与を3%引き上げることを決めた。民間企業の賃上げの動きを喚起するのも狙いだ。輸出が勢いを失った穴を消費の伸びで埋められるかが焦点となる。



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