土木学会全国大会・大石会長基調講演/「土木の『領域』を再考し、主張 … – 日刊建設通信新聞 (会員登録)



【レジリエンスに“海図”示す/インフラ投資の必要性強調】
 土木学会の大石久和会長は12日、福岡市で開かれている同会全国大会で「土木の『領域』を再考し、主張ある土木を構築しよう」をテーマに基調講演した=写真。先進国のインフラ投資を比較した上で「この20年で半減させてきた国は日本だけ」と指摘し、経済成長と国民の安心・安全を支えるインフラ投資の必要性を訴えた。具体的なプロジェクトや投資額が明示されていない状況を「海図なき航海を続けるインフラ投資では全体の位置が見えない」とし、少なくとも、国家の存続が危うくなるような場合のレジリエンス(回復力)については、学会として費用などの“海図”を明示していく考えを示した。
 講演では、各先進国と日本のインフラ投資額の経年変化や名目GDP(国内総生産)など、さまざまなデータを比較した上で、インフラ投資の必要性を強調。「人口減少で道路をつくっている場合ではないという議論もあるが、総人口、労働人口が減れば1人当たりの労働生産性を上げなければならない」と指摘し、「人口が減っているからもう1本橋をかけて、1日に5件しかできなかった配達件数を増やせば生産性が向上する」と、生産性に着目したインフラ投資の重要性を主張した。
 また、「費用便益比の観点からは出てこない効果もある」とし、東京から青森まで移動する場合のルートについて、21%の道路延伸で270倍ものリダンダンシー(代替性)が得られることを例示した。
 会長の特別プロジェクトである、「安寧の公共学懇談会」「レジリエンスの確保に関する技術検討委員会」「国土・土木とAI懇談会」の内容についても説明し、レジリエンスの確保については「どう立ち直っていくのかの投資規模などをまとめていきたい」とした。土木と社会の関係を俯瞰(ふかん)的にとらえる施策の展開に向けては、大学などを対象に実施しているアンケートを踏まえ、土木の役割を再考する取り組みも進める。
 国土・土木とAI懇談会では「インフラに張り付けた機器からのデータをビッグデータとして活用することを考えていきたい」と説明した。
 技術系の法律体系にも触れ、弁護士法で求められている教養と使命感が「残念ながら技術士法では求められていない」と指摘した上で、「土木人としての誇りが取り戻せるような活動を展開していきたい」を締めくくった。



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