黒田日銀総裁の任期まであと1年-デフレ脱却の実現厳しく道半ば – ブルームバーグ



黒田東彦日銀総裁があらゆる手段を尽くしても、残る1年の任期内にデフレ脱却を実現することは難しい状況だ。

  就任直後に導入した量的・質的金融緩和による円安・株高で、一時は物価上昇への期待が高まったものの、原油価格の大幅な下落や増税に伴う消費の落ち込みによる景気低迷に阻まれた。

  原油価格の回復に伴い、物価は再び上昇基調にあるが、黒田日銀が掲げる2%物価目標の達成への道のりは遠い。物価見通しの民間予想は今年0.6%、2018年は0.9%と1%を下回る。黒田総裁が続投しない限り、現行の金融政策の成否は次期総裁に託されることになる。

  日銀出身のJPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは「物価に関しては完全に失敗だ。2年で達成するといっていたのが、4年たった今でも達成できていない。それどころか本当に達成できるのか相当疑わしい」と指摘。足立氏は残りわずかな任期中に黒田総裁がどのような手を打つのか見届けた上で、その手腕を総括したいと述べた。

  黒田総裁は13年4月に決定した異次元緩和で、2年程度を念頭にできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成するためマネタリーベースを倍増。長期国債・指数連動型上場投資信託(ETF)などの資産購入によってインフレ期待の高まりを狙い、借り入れコストを下げた。その後も、マイナス金利、長短金利操作と政策を次々と打ち出し、デフレと闘ってきた。

  相次ぐ黒田バズーカが政策効果をもたらさなかったわけではない。インフレ率が低水準で推移する一方で、貸し出しはここ数年で最も速いペースで増えている。

  マネーサプライの拡大は円安につながり、輸出企業の競争力を高めた。

  これによって株価が上昇し、企業収益が過去最高に達した。

  経済成長も堅調だ。日本の国内総生産(GDP)は16年の各四半期に1%以上拡大。年間を通じてプラス成長が続いたのは05年以来となる。安倍晋三首相が再び政権を取り戻した12年末以降、GDPは10%拡大した。

  しかし、黒田総裁は来年4月8日に任期を終える。残された課題は後任が引き継ぐことになりそうだ。日銀のバランスシートは日本のGDP(約500兆円)に匹敵する規模になりつつある。日銀が出口戦略に着手すれば膨大な保有資産から負債が発生する可能性もある。

  BNPパリバ証券は国債発行残高に占める日銀の保有比率が現行の4割から、来年末には6割になると推計する。

  同証券の河野龍太郎チーフエコノミストは雇用が逼迫(ひっぱく)する中、現在の大規模緩和の縮小は早ければ早いほど良いとし、日銀は何兆円にも上る可能性がある出口でのコストを避けるべきだとしている。
  
  雨宮正佳理事は10日の衆院決算行政監視委員会で、仮に昨年9月末の段階で金利がイールドカーブ全般に1%上昇した場合、23.8兆円の国債の含み損が発生すると答弁した。

  日銀のバランスシートは差し迫った問題ではない。72歳の黒田総裁の退任までに予定されている金融政策決定会合は8回。一部のエコノミストは黒田総裁の再任を予想するが、多くが現段階での金融引き締めを想定していない。

  前内閣官房参与で安倍首相に経済政策を助言している本田悦朗駐スイス大使は今年1月の電話インタビューで、黒田総裁の後任人事について、再任も「一つのやり方」と述べるとともに、「基本的には黒田総裁の路線を継承してくれる人」と語った。それはデフレ脱却に向けた試練が18年以降も続くことを意味する。
  

  
  
  
  
  



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