仏大統領選、「EU」が争点 主要候補の公約出そろう – 日本経済新聞



 【パリ=竹内康雄】4~5月のフランス大統領選に出馬した中道系の独立候補、マクロン元経済産業デジタル相が2日、政権公約を発表した。外交・安全保障で親欧州連合(EU)を鮮明にし、経済では財政規律を守りつつ成長を追求する姿勢を表明した。EU離脱や財政拡大というポピュリズム(大衆迎合)的な政策を掲げ、支持を集める極右の国民戦線(FN)との差別化を意識した内容だ。主要候補の公約が出そろい、本選に向けた政策論争が本格化する。

 「欧州は我々の公約の中心。欧州の戦略なしでは成功できない」。マクロン氏は記者会見でEUにとどまる重要性を訴えた。「仏独の協調は前に進むための必要条件」とも話し、ドイツと連携してEUのけん引役を果たすと力説した。

 具体的にはEUの防衛力強化が重要だとして装備品開発などにあてる基金の創設を提唱。エネルギーやデジタル分野の単一市場の創設も訴えた。

 EU離脱を決めた英国に対しては「単一市場を守る」と厳しい姿勢を取る考えを示唆した。単一通貨ユーロは維持し、域内の移動の自由を定めた「シェンゲン協定」にもとどまると言明した。

 一方、経済分野ではバランス重視の財政運営により、歳出削減と公共投資を両立させる。公的保険改革や公務員の最大12万人削減で600億ユーロ(約7兆2千億円)の歳出を減らしつつ、500億ユーロをエネルギーやインフラなどに投資する計画。法人税率を現行の33.3%から25%に引き下げるほか、週35時間労働制を緩和するなど民間企業を後押しする政策で成長のけん引役を担わせる。

 背景には仏経済の回復基調がある。2014年まで3年連続で1%を切っていた国内総生産(GDP)伸び率は、16年は前年比1.1%増と2年続けて1%台に乗せた。課題だった失業率も改善の兆しがあり、過度の景気刺激策に頼らなくても済むという計算がある。

 マクロン氏の念頭にあるのは、FNの公約だ。例えばEUとの関係で、FNのルペン党首はEU離脱を問う国民投票の実施を約束。シェンゲン協定から脱退し、ユーロの代わりに旧通貨のフランを再導入すると主張している。難民・移民の受け入れも大幅に削減する方針を打ち出している。

 ルペン氏の考えの根底には、欧州委員会主導の政策で仏経済が停滞して失業率上昇を招き、大量の移民流入が治安を悪化させたとの思いがある。

 だが「ユーロ離脱は資本流出を招き、フランは暴落する。購買力の落ちた家計にしわ寄せがいく」(仏紙ルモンド)とFNの急進姿勢への警戒感は根強い。マクロン氏はそうした声を集票への追い風としたい考えだ。

 経済政策でもルペン氏は積極財政論者だ。現在は一部の特例を除いて一律33%の法人税率を、中堅企業には24%、小規模企業は15%へと恒久的に軽減する。また輸入品に3%の関税をかけ、仏製品の国内での競争力を相対的に引き上げるといった、トランプ米政権を想起させる通商政策も提唱している。

 電気・ガス料金の5%引き下げや治安要員の増員など、ルペン氏の公約はバラマキ色が強い。



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