11月ロイター企業調査:内部留保活用は国内設備投資とM&A、賃上げには使わず – ロイター



[東京 13日 ロイター] – 11月ロイター企業調査で、今後の内部留保の活用方針を聞いたところ、「国内設備投資」が最も多く、「M&A」、「将来の備えとしての現預金」が続いた。安倍晋三首相が求める「賃上げ」の資金と考えている企業は4%にとどまった。第4次安倍内閣に対しては、3本の矢を中心としたアベノミクスの継続を求める声が過半数となったものの、規制緩和への取り組みと金融緩和の出口検討を求める声も目立った。

 11月13日、11月ロイター企業調査で、今後の内部留保の活用方針を聞いたところ、「国内設備投資」が最も多く、「M&A」、「将来の備えとしての現預金」が続いた。安倍晋三首相が求める「賃上げ」の資金と考えている企業は4%にとどまった。写真は都内で昨年1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に10月26日─11月7日に実施。回答社数は247社程度。

企業が内部留保の活用先として今後増やす予定にしているのがM&Aだ。「従来の活用先」として挙げていた企業は全体の5%にとどまっていたが、「今後の活用先」としては23%に増加した。

逆に「国内設備投資」は「従来」の41%から「今後」は33%に低下、同様に「将来の備えとしての現預金」も33%から20%に低下した。「賃上げ」は従来が3%、今後も4%とほぼ変わらなかった。

内部留保の残高が積み上がっていることに株主からクレームがくる「懸念がある」と回答した企業は28%、「懸念はない」は72%。外部から、その使途について介入されることには反論も多い。

「係数上の値に過ぎない内部留保について、まるで直ちに処分可能な現物資産や金銭が存在するかのような議論が行われていることに強い疑問がある」(小売)、「内部留保を単純にキャッシュと捉えるのは誤り」(金属)といった声が多い。

ただ、中には1997年の銀行・証券の倒産やリーマンショック時のような事態を「トラウマとして未だに引きずっている」(サービス)との声もあり、「(内部留保の)水準は下げられない」(小売・サービス)との指摘も多い。内部留保が厚くないと「買収のターゲットにされる懸念がある」(運輸)、「銀行からの信用力が低下する」(その他製造)などと回答する企業もあった。

衆院選挙後も安倍政権が継続することになり、アベノミクスを継続してほしいとの声は62%を占めたが、それでも見直すべき点について聞いたところ、3本の矢のうち、金融緩和と成長戦略を挙げる企業が多かった。

成長戦略は58%が見直すべきと回答。特に多かったのが「大胆な規制緩和」。「参入障壁の撤廃」や「既得権益の見直し」を挙げる声も含まれる。

大胆な金融緩和の見直しを求める声も40%を占めた。圧倒的に多かったのが出口戦略の検討だ。「金融緩和はむしろ副作用が大きく、テーパーリングを考える時期に来ている」(電機)など、金融政策の正常化を望む声が多い。

他方で財政再建については楽観的な見方が多く、この先、財政再建(債務残高の圧縮)は可能との見方が75%を占めた。

財政再建の目標としてふさわしい指標としては「基礎的財政収支の黒字化」を挙げる回答が全体の69%を占めた。「将来世代にツケを回さない」(多くの企業)との回答が目立った。



中川泉 編集:石田仁志

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