[特別企画] 相続税・贈与税「税務調査で8割以上がNG」はなぜ?(後編) – ダイヤモンド・オンライン




年間1万件以上実施されている相続税調査では、その8割以上で申告漏れなどの「非違」が指摘され、贈与税調査でも9割が指摘を受けている。前編に続いて、調査は具体的にどう行われるのか、調査を回避する方法はあるのかなどを、元国税局幹部で実際に調査に携わったの2人の税理士に聞いた。(聞き手/税理士 脇田弥輝)

(前編から続く)

寝室や仏壇、香典帳まで

確認する調査のリアル

租税調査研究会

武田恒男

副代表理事・税理士


たけだ・つねお/一般社団法人租税調査研究会副代表理事。1952年山形県生まれ。国税局で調査部特別国税調査官、調査部課長、課税部次長を務め、複数の税務署で署長を歴任。2013年に退職し、税理士登録。税務調査などに関する著書多数。PHOTO BY MASAMITSU TANAKA

脇田 実地調査の対象となる相続人には、最初、どのような形でアクセスするのですか。

武田 11年に国税通則法が改正されてからは、法人税や所得税も同じですが、相続税も事前通知が原則です。電話で「税務調査をやります」という調査宣言を行います。

脇田 事前通知なしに調査することはないのですか。

松林 無予告で調査することもあります。通知をすることで正しい財産の把握が困難になるような案件です。仮装行為や隠蔽行為をしているケースもありますし、申告漏れ金額がかなり大きいといったケースもあります。その場合、関係者それぞれの財産の所在場所へ一斉に調査を行います。

 話を調査の流れに戻しますと、まずは電話で事前通知をします。調査場所は、だいたい被相続人が亡くなる直前まで生活していた場所です。この調査を税務署の職員は「臨宅調査」と呼びます。調査員の数は一般に2~3人です。 

 当日は通常10時ごろから調査を始め、午前中は故人の経歴、生前の財産運用の仕方、財産の保管場所について聞き取り調査を行います。昼になると必ず外へ出て食事をします。午後1時に調査を再開し、通帳、印鑑、株券、信託証券、不動産の登記簿謄本、そういう一つ一つの財産の現物とその保管場所を確認します。その際、被相続人名義のものだけでなく、名義預金など相続人の財産も確認します。

租税調査研究会

松林優蔵

主任研究員・税理士


まつばやし・ゆうぞう/一般社団法人租税調査研究会主任研究員。1953年青森県生まれ。国税局で主任監察官、課税部 資料調査課課長などを務め、複数の税務署で署長を歴任。2013年に退職し、税理士登録。Photo by M.T

 例えば、相続人となった妻の寝室にそういう現物があるとなれば、相続人の了解を得て、調査官は基本的にそこへも同行します。財産の保管状況によって財産の帰属を判断できる場合があるからです。

武田 相続税の調査とは財産調査なんです。実地調査では、その財産の置き場所を確認すると考えればいいでしょう。現金はどこに置いているのかを確認したり、金庫に財産や不動産の登記簿謄本などの重要書類を保管しているならその中を見せてもらったり。財産の置き場所がたんすや押し入れ、仏壇なら、その中を見せてもらいます。取り引きしていた銀行の貸金庫もよくチェックします。

松林 預金や有価証券などの動産類は、法律上、基本的には専有している人の物という考え方です。離れて暮らす娘の子、つまり孫の預金が被相続人の自宅にあったら、名義預金の可能性があります。

 葬儀の際、会葬者に記帳してもらう香典帳も調査官は調べます。お金を貸していた友人の名前があるかもしれませんし、取引金融機関の支店長の名前があるかもしれない。もし、その金融機関に関する預金などの財産が申告書に記載されていなければ、申告漏れではないかと見込んで調査するのです。

※ 事前通知には、調査通知も含む



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