国税、「優良企業」に優しく 適正申告努力なら調査頻度減らす – 日本経済新聞

 “優良企業”の負担を減らします――。国税庁が企業に対する税務調査の運用の見直しを進めている。適正申告に積極的な企業は調査頻度を下げる一方、過度の節税策をとる企業には厳しく対応。「アメとムチ」を使い分ける背景には、調査が難しい事案の増加や国税当局の人手不足がある。

 税務調査は各地の国税局や税務署が行い、企業が法人税などを適正に申告しているかどうかを調べる。問題が見つかれば追徴課税処分などを行う。企業は財務書類をそろえなくてはならず、負担は重い。いつ調査するかは国税当局の裁量で、頻度に決まったルールはない。

 国税庁は昨年、調査頻度を減らす「良好法人」と認める際の指針を初めて公表した。良好法人は調査間隔を延ばし、企業側の負担を減らす。延長は1年間で、例えば前回の調査が2年前で直近の調査で良好と認められれば、次の調査は3年後になる。認定すれば企業側にも通知する。

 良好法人の判断材料は「経営責任者が適正申告に向けた指導を社内で実施しているか」「不適切な行為を抑制する体制が整備されているか」など。原則、資本金40億円以上の大企業が対象で全国に約500社。2016年6月時点で36社が良好法人と認定されている。

 国税庁はこの取り組みを11年から試行しており、「どうしたら認定されるのか」などの問い合わせが寄せられたため、指針をホームページに掲載した。

 調査にメリハリをつけ始めたのは税務調査が年々難しくなっているためだ。海を越えた資金移動が盛んになり、財務状況を把握しにくくなっている。一方で国税庁の定員数は1998年度以降、減少傾向にあり実際に企業に赴く調査件数は大幅に減っている。調査対象を絞ることで選択と集中を図る考えだ。

 企業側には税務調査の負担が減る以外のメリットもある。税務訴訟などに詳しい鳥飼総合法律事務所の高田貴史・税務部長は「良好と認められることで国際的な信頼を得ることにもつながる。一時的な対応ではなく、企業文化として根付かせることが必要だ」と話している。

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